景気回復は18年10月に終了、戦後最長には至らず=内閣府

Reuters

発行済 2020年07月30日 17:08

更新済 2020年07月30日 18:45

[東京 30日 ロイター] - 内閣府は30日、景気回復の期間を判定する有識者による「景気動向指数研究会」を開催し、2012年12月の第二次安倍政権発足とほぼ同時に始まった景気拡大局面が2018年10月に終了したと暫定的に認定した。景気拡大期間は71カ月となり、2002年2月から08年2月まで73カ月続いた戦後最長の「いざなみ景気」には届かなかった。 

内閣府が毎月公表している、景気動向一致指数を構成する各種経済指標のうち、過半が18年11月以降トレンドとして悪化を始めたのが主な判断理由。具体的には鉱工業生産指数や商業販売額、営業利益、有効求人倍率などの指数の前月比を12カ月移動平均、15カ月移動平均などから判断し、それぞれがトレンドとして改善から悪化した時期を特定した。

その上で「国内総生産(GDP)や日銀短観など他の重要な各種経済指標と比べ、著しい不整合がない」として判断したと、会見した吉川洋座長(立正大学学長)は説明した。米中貿易摩擦の影響が輸出に響き出した時期から景気後退が始まった格好だ。

今回の景気回復が長期にわたるにもかかわらず実感に乏しいと呼ばれる理由に関し、吉川座長は「緩やかだが、長期にわたる景気回復は日本のみならず先進国の特徴」と指摘。今回の特徴としても「成長率が低く、大企業の収益などと比べ消費があまり伸びなかった」と総括した。

今回の景気判断により、政府が消費税率を引き上げた2019年10月は景気後退局面であったことになる。これに対する受け止めについて吉川座長はコメントを控えた。

政府の景気判断は毎月の月例経済報告で示されており、新型コロナウイルスの影響が深刻化する直前のことし2月まで「回復」との判断を維持していた。