米雇用、8月は137.1万人増 政府の臨時採用下支え 失業率8.4%

Reuters

発行済 2020年09月04日 23:05

更新済 2020年09月05日 00:55

[ワシントン 4日 ロイター] - 米労働省が4日に発表した8月の雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月比137万1000人増となり、伸びは前月の173万4000人から鈍化したほか、予想の140万人も下回った。政府支援策の効果が薄れる中、新型コロナウイルス感染拡大で引き起こされた景気後退(リセッション)からの回復が危ぶまれている。

雇用者数には国勢調査のため臨時採用された人が含まれ、全体の伸びの約5分の1を占めた。失業率は8.4%と、7月の10.2%から改善。予想は9.8%だった。

企業に対する政府の給与支援プログラムは失効もしくは終了の瀬戸際にある。失業給付を週600ドル加算する特例措置は7月末に期限切れとなった。新型コロナの感染拡大に伴い経済活動は3月中旬以降、ほぼ停止状態に陥っていたが、政府や連邦準備理事会(FRB)による大規模な経済対策が下支えとなり、持ち直しに転じた。

雇用者数は6月時点で478万1000人増加。その後は鈍化傾向が続いている。コロナ禍前の2月時点と比較すると、なお1150万人もの雇用が失われているほか、失業率は4.9%ポイント悪化している。

<一時帰休や解雇の動き拡大>

これまでの雇用の伸びは一時帰休からの復帰が大半を占める。コロナ感染は夏場にかけて急増し、その後は安定化の兆しも見られるが、なお多くのホットスポット(一大感染地)で感染が継続している。

ユナイテッド航空 (O:UAL)は2日、コロナ禍による航空業界への打撃が続く中、10月1日に従業員1万6370人の一時帰休を計画していると発表。自動車大手フォード・モーター (N:F)も2日、年末までに米国で1400人のホワイトカラー職の削減を目指すと明らかにした。

FRBは2日に公表した地区連銀経済報告(ベージュブック)で、経済活動は8月下旬にかけて小幅ながら拡大し、雇用はおおむね増加したものの、成長は一部地域で引き続き停滞したとの認識を示した。また一部の地区では、特にサービス業で雇用の伸びが鈍化し、変動が大きくなっているほか、需要が引き続き軟調なため、一時帰休の労働者が恒久的に解雇されるケースが増えていると指摘した。

4─6月期の米国内総生産(GDP)は31.7%減と記録的な落ち込みを記録した。7─9月期のGDPは30%程度持ち直す可能性もあるが、雇用の減速は個人消費を直撃する形で10─12月期のGDPに影響を及ぼすとみられる。

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時間当たり平均賃金は前月比0.4%増と、前月の0.1%増から伸びが拡大した。予想は横ばいだった。平均週間労働時間は0.1時間伸び34.6時間。ただ労働統計局(BLS)は、賃金や労働時間の伸びをあまり深読みしないよう注意を促した。コロナ禍による雇用の喪失は低賃金のサービス業に集中している。