米経済活動は控えめに拡大、部門間でばらつき=連銀報告

Reuters

発行済 2020年10月22日 03:47

更新済 2020年10月22日 08:09

[21日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)は21日に公表した地区連銀経済報告(ベージュブック)で、経済活動が10月初旬にかけて、「わずか、あるいは控えめに」拡大したものの、状況は部門によって相当異なるとの認識を示した。

今回の報告では「ポジティブ」や「楽観的」といった表現を用いる地区が増え、9月の報告より明らかに前向きな内容となった。

ただ、新型コロナウイルスの感染拡大による景気低迷からの回復が一様でないことも示された。例えば、個人消費についてシカゴ地区連銀が「底堅く増加した」としたのに対し、ニューヨーク連銀は「横ばいになった」、カンザスシティー地区連銀は「やや減少した」と指摘した。

報告では「各地区とも見通しはおおむね楽観的かポジティブだが、かなりの不確実性を伴う」とした。

製造業活動は総じて緩やかに伸び、個人消費は増加したが、一部地区は小売支出が横ばいになり始めているとした。

安定した住宅需要が居住用不動産市場を支え、ローン需要を押し上げる一方、商業用不動産市場は多くの地区で、倉庫などを除いて一段と悪化した。

銀行部門の調査先は多くの地区で、向こう数カ月間で滞納率が増えるとの懸念を示した。

今回の調査は9月から10月9日にかけて12地区で実施された。

<労働市場の逼迫も>

雇用状況はまちまちとなった。様々な部門および地区で採用が続いたが、一時帰休が恒久化する傾向も根強い。

フィラデルフィア地区連銀が実施した新型コロナ関連調査では「一時帰休した従業員の呼び戻しは9月に5%となり、7月の13%から鈍化した。一方、恒久的な解雇をする企業の割合は7月の6%から9月は7%にやや上昇した。新たに一時帰休する企業の割合は6%から5%にやや低下した」としている。

全米の失業率が高止まりする中でも、大半の地区が労働市場の逼迫を報告した。賃上げや子育ての問題を抱える従業員に柔軟性を認めるなどして対応している企業もあるという。

賃金は大半の地区で小幅に増えた。低賃金、もしくは高需要な仕事に関して働き手が見つからないことに起因する場合が多かった。

物価は全ての地区で前回報告からやや上昇した。

投入コストは総じて消費者物価より速いペースで上昇した。消費者物価は全地区でやや伸びた。食品と自動車、家電製品は大幅に上昇した。

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複数の地区は、多くの企業にとって新型コロナに関連する費用が引き続き増えているとした。

米国の新型コロナ新規感染者数は7月下旬から9月上旬にかけて減少した後、再び増加している。ロイターの分析によると、50州のうち34州が、少なくとも2週連続で新規感染件数が増えた。前週は29州だった。

気温が下がるとともに屋内で活動する消費者が増え、感染者が増加する可能性がある。夏の間、屋外の席を活用できたレストランやその他の事業は、再び売り上げが減少する可能性に懸念を示した。