米FRB、低金利維持を確約 景気支援に「あらゆる手段尽くす」

Reuters

発行済 2020年11月06日 04:31

更新済 2020年11月06日 08:27

[ワシントン 5日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)は4─5日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0─0.25%に据え置くことを全会一致で決定し、新型コロナウイルス感染拡大と米大統領選の結果を巡る先行き不透明感で経済が脅威にさらされる中、景気回復支援に向けあらゆる手段を尽くすと改めて表明した。

FRBのパウエル議長はFOMC後の記者会見で、経済は依然成長しているものの「誰もが満足しているとは言えない」と指摘。「予想よりも良好な当初5、6カ月の景気拡大を経たが、この病気に関するところでは、われわれは謙虚にならなければならない。この病気は去っていいない」と述べた。

同議長はまた、さまざまな緊急信用ファシリティーについて、12月31日の期限延長の必要性を検討し始めたばかりだと述べた。

<声明文は前回をほぼ踏襲>

FRBはFOMC声明で「経済活動と雇用は回復を続けているが、年初の水準を大きく下回ったままだ」と指摘。「新型ウイルスのパンデミックは、米国および世界中で多大な人的および経済的苦難をもたらしている」との認識を示し、「この厳しい局面で米経済を支援するためにあらゆる手段を行使し、雇用最大化と物価安定という目標を促進することに全力で取り組む」と表明した。

このほか、「少なくとも」月額1200億ドルの国債などの買い入れを当面は継続すると表明。経済の進展具合を見極めながら、必要に応じて他の手段やプログラムも利用していく方針を示した。

声明の文言は前回9月をほぼ踏襲。3日投開票の米大統領選に関する言及はなかった。パウエル議長は大統領選を巡る対立が長引くことで見込まれる景気への影響について、自発的にノーコメントだとした。

<感染拡大を「特に懸念」>

パウエル議長は、米経済が財政支援策と経済活動の再開で上向いていたものの、現在は回復ペースが鈍化していると指摘。「家計消費の全般的な回復は、財政刺激策と失業手当の拡充が一部押し上げ要因となっていた」と述べた。

その上で、国内外で新型ウイルス感染がこのところ拡大していることを「特に懸念」しているとし、ソーシャルディスタンスとマスクがウイルス抑制と景気支援に必要だと指摘。「人々が安心してさまざまな活動に再び取り組めるようになるまで、完全な経済回復は見込めない」と強調したほか、住宅市場がパンデミック開始以降で完全に回復した一方、サービス向け支出は低水準にとどまっているとの認識を示した。

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資産買い取りについては「相当大きなプログラムだが、うまく機能している」と評価。会合では追加緩和が必要な場合に備え、債券買い取りの調整方法を巡って議論したが、現時点では追加緩和は不要と考えられると述べた。同時に、資産買い取りは今後も継続すると念を押した。

マーケットをみると、米株はFOMC声明発表前に急伸。総じて上げを維持し、前日比上昇して引けた。米国債利回りは小動き。ドルは主要通貨バスケットに対して下落した。

バンクレート・ドットコムのチーフフィナンシャルアナリスト、グレッグ・マクブライド氏は「新型ウイルス感染拡大と雇用の伸びの鈍化に加え、追加財政刺激策が実施されていないことや、米大統領選の結果の判明に時間がかかっていることなどを踏まえると、前回9月のFOMC以降、景気回復に対するリスクは増大した」と指摘。「FRBは利用可能な政策ツールが枯渇していないとしているが、現時点でできることはすでに全て行っている」と述べた。

<政策担当者見通しの公表方法変更>

FRBはこの他、金利や経済情勢などに関する政策担当者の見通しについて、公表方法の変更を発表。12月のFOMCから、見通しの分布を含めた詳細な情報を政策発表と同時に公表する。現在はこうした資料が、FOMC議事要旨とともに3週間後に公表されている。