FRB、雇用の回復判断に労働参加率など参照=クラリダ副議長

Reuters

発行済 2020年11月17日 05:17

更新済 2020年11月17日 08:09

[ワシントン 16日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)のクラリダ副議長は16日、国内の労働市場を修復するための新たな積極的アプローチの一環として、FRBが労働参加率を含む一連の広範な指標を参照しなから、「最大雇用」に回帰する時期を判断するという考えを示した。

ブルッキングス研究所主催の会合で、FRBは新型コロナウイルス禍における経済動向や、月額1200億ドルの資産買い取りプログラムなどの進捗状況を引き続き注視していくと確認した。

新型コロナ感染の急増に伴い、FRBが早ければ12月にも資産買い取りを巡って変更を加えるのではないかとの憶測も広がる中、クラリダ氏は直接的な言及は避けながらも、失業率の改善や労働者の再雇用に向け、FRBは強い意志で臨むと強調した。

さらに、現実的な問題として、失業率が低い水準に改善したからといって、経済が完全雇用の状態にあると見なしたり、利上げを検討することにはならないと明言。人口の十分な割合を占める人が職に就き、主要な人口集団の労働参加率がトレンドに復帰する必要があり、こうした指標が低迷し、インフレが抑制されている限り「金融政策は引き続き雇用不足の解消に向け調整されるべきだ」と述べた。

また、新型コロナウイルスの2つのワクチン候補の治験で明るい結果が出たことから、米経済が予想よりも早期に回復する可能性が高まったと指摘した。

さらに、旅行や娯楽、飲食関連の消費が抑制されていた時期にかなりの資金が貯金にまわっていたとし、来年ワクチンが供給されればこの資金は消費に向かうとの見方を示した。

家計や企業への新たな支援措置に向けた動きはまだなく、今後の数週間がカギになるとした。一方、金融市場はうまく機能しているようで、新型コロナの感染者急増でも、FRBが1200億ドルの資産買い取りプログラムを12月にも調整するとの思惑は広がっていないようだ、と述べた。