中国の11月新規融資は予想超す増加、社会融資総量残高は伸び鈍化

Reuters

発行済 2020年12月09日 18:04

更新済 2020年12月09日 23:54

[北京 9日 ロイター] - 中国人民銀行(中央銀行)が9日発表したデータによると、11月の新規人民元建て融資は、前月比で予想以上に増加した。一方、11月末時点の社会融資総量残高は前年比で伸び率が鈍化した。新型コロナウイルスが世界的に流行する中、人民銀行は緩和的なスタンスを維持している。

11月の新規人民元建て融資は1兆4300億元(2189億6000万ドル)と、10月の6898億元を大幅に上回った。

ロイターがまとめた市場予想(1兆4000億元)も上回った。

中国では、国慶節に伴う1週間の休暇がある10月は融資が減少する傾向にあるため、11月の融資は前月比で増加するのが通例だ。

アナリストは中国経済が新型コロナによる落ち込みから回復し、人民銀が「戦時モード」から「様子見モード」にシフトするとして、銀行融資は今後数カ月で伸びが鈍化すると予想している。

キャピタル・エコノミクスのジュリアン・エバンズプリチャード氏はリポートで、経済は「信用サイクルの転換点」を迎えたとし、融資枠は厳格化されていると指摘した。

1─11月の新規人民元建て融資は18兆3800億元となっており、年間の過去最高を更新する見込み。

人民銀行は2月以降、新型コロナ流行による経済への打撃を抑制するため、さまざまな緊急緩和策を導入。市場では、刺激策の解除時期に関する憶測が広がっているが、大半のアナリストは、世界経済の見通しが不透明な間は、緩和策停止は段階的なプロセスになると考えている。

11月のマネーサプライM2の前年比伸び率は10.7%。10月の10.5%から加速した。ロイターがまとめた市場予想は10.5%。

人民元建て融資残高は前年比12.8%増。10月は12.9%増、市場予想も12.9%増だった。

11月末時点の社会融資総量残高は前年同月比13.6%増の283兆2500億元(43兆3700億ドル)。伸び率は10月末の13.7%から鈍化した。

社会融資総量には通常の銀行融資以外の新規株式公開、信託会社の融資、債券発行などが含まれる。