展望2021:動意薄のドル円、瞬間的100円割れなら介入も=渡辺・元財務官

Reuters

発行済 2020年12月29日 13:32

[東京 29日 ロイター] - 元財務官の渡辺博史・国際通貨研究所理事長はロイターとのインタビューで、2021年も動意の薄いドル円相場を予想する一方、バイデン米新政権発足直後に円高が瞬間的に進めば、日本政府が為替介入に動く可能性があるとも指摘した。また、日銀が上場投資信託(ETF)の買い入れを柔軟化しても、株式市場への影響は軽微との見方を示した。

渡辺氏は自身が財務官だった2005年などと比較して、ここ3年間はドル円の変動率(ボラティリティ)が小さくなっていると語り、その理由について「各国の金利差がなくなり、(内外資金移動で)儲かる水準でなくなった」と述べた。年初に米国でバイデン政権が発足した直後に、「イエレン新財務長官やパウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長の発言次第では、ドル円が瞬間的に100円前後まで円高方向に動く可能性はある」としつつ、「すぐ102─103円に戻る」との見通しを示した。

それでも100円割れが近づけば、日本政府が為替介入に動く可能性があると渡辺氏は指摘。「菅義偉首相は円安政策とされている」とした上で、「政治的ポジションから100円割れを2週間程度先送るため、為替介入することはあり得る」と語った。

21年は日米欧いずれも低金利環境が続き、米国株式市場のダウ平均は「2万5000ドルから3万ドルの間で推移する」と予想した。米連邦準備理事会(FRB)の金融緩和策は、雇用が大幅に改善しない限り、方向転換はないとの見方を示した。

<日銀ETF買い入れ柔軟化、問題なし>

渡辺氏は、日銀が12月の金融政策決定会合で発表した政策点検についても言及。金融市場の一部では、年間12兆円を上限に定めるETFの買い入れを柔軟化することなどが取りざたされている。

渡辺氏は、「ETF買い入れを減額すると表明する必要はないが、国債買い入れについても、日銀は市場にショックは起こさず柔軟化できているので、問題はない。市場が反応したら買い入れを増やすなど市場との対話を行えばよい」と述べた。

*インタビューは24日に実施しました。

*ロイター編集部では、2021年の経済、市場、業界などを展望するインタビュー記事を「展望2021」として配信します。 内外経済や国際情勢、金融市場や各業界の見通しなどについて随時配信していきます。

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