アングル:与党内に補正待望論、首相は慎重 解散にらみ議論後ずれか

Reuters

発行済 2021年04月26日 17:09

[東京 26日 ロイター] - 新型コロナウイルスの感染再拡大を受けて与党内の一部で2021年度補正予算編成への待望論が浮上している。ただ、菅義偉首相をはじめ財政再建を重視する政府・与党関係者は早期の補正予算編成に慎重な姿勢を崩しておらず、本格的な議論は衆院選の時期などと絡んで、後ずれする可能性がある。

<いずれ編成、時期尚早>

自民党の二階俊博幹事長は今月4日のテレビ番組で、感染・経済対策について「足らざるところがあれば、補正予算案も編成して、積極的な対応をしていきたい」と述べ、補正予算案の編成も検討すべきという考えを示した。

自民党の安藤裕衆院議員ら若手議員は23日、二階幹事長に対して、「消費税ゼロ」や現金給付策など、50兆円規模の補正予算の編成を申し入れた。公明党内でも「5兆円の予備費で対応しきれない部分は補正予算が自然だ」(幹部)との声が出ている。

しかし与党内は一枚岩でない。「秋以降に世界的に景気回復が本格化すれば金利上昇の可能性も大きく、コロナ禍でも財政健全化の努力は重要」(自民中堅)との声も相応に聞かれる。

菅義偉首相も、3度目の緊急事態宣言を東京・大阪などに発令すると決めた23日の記者会見で「補正予算は考えていない」と明確に否定。休業要請などで影響を受ける事業者などへの対応について「これまで措置した予算、さらに必要に応じて、5兆円のコロナの予備費を活用したい」と語った。

政府関係者によると、麻生太郎財務相や財務省は、衆院選前に経済対策が打ち出される場合は、補正予算編成が必要となる公算が大きいとみている。しかし、コロナ対応で衆院解散時期が後ずれする可能性もあり、「現時点での補正編成は時期尚早」(財務省関係者)との見方だ。足元で補正予算を編成すれば、「年内2回補正予算が必要となる可能性があり、財務省が慎重」(政府関係者)とされる。

<補選の教訓>