先行き不確実性極めて高い、企業金融の動向見極め=安達日銀審議委員

Reuters

発行済 2021年06月02日 12:30

杉山健太郎

[東京 2日 ロイター] - 日銀の安達誠司審議委員は2日、静岡県金融経済懇談会にオンライン形式で出席し、当面の政策対応上の課題は、9月末に期限を迎える「新型コロナ対応資金繰り支援特別プログラム」の取り扱いだと指摘し、企業金融の動向を慎重に見極めながら議論を進めていく必要があると述べた。内外経済に関しては改善基調を続けているものの、先行きの不確実性は極めて高いとの考えを示した。

安達氏は、企業金融面の課題が資金繰りの問題からソルベンシー(支払い能力)に移行しつつあると説明。資金調達ニーズも、借入から資本へとシフトする企業がみられ始めるなど、コロナ対応特別プログラムを取り巻く環境は変化しつつあると述べた。一方、ワクチンの接種が進み集団免疫を獲得するまで対面型サービス消費で明確な回復を見通すことは難しく、今後の動向を慎重に見極める必要があると述べた。

日銀は3月に金融政策の点検結果を公表したが、安達氏は、日本の物価が過去の慣習や実績などで醸成された「物価観のようなもの」に影響される側面が非常に強いことが改めて確認されたことを興味深く感じた、とした。その上で、日銀にとって2%の「物価安定の目標」は堅持すべき重要な政策目標であり、その実現には「岩盤のような物価観を変えていく必要がある」と強調した。