FRB、物価懸念だけで「性急に利上げせず」 パウエル氏が議会証言

Reuters

発行済 2021年06月23日 05:40

更新済 2021年06月23日 07:27

[ワシントン 22日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は22日、コロナウイルス危機に関する下院特別小委員会の公聴会で証言を行い、FRBは労働市場の「広範で包摂的な」回復を促進するとし、インフレ懸念のみに基づいた性急な利上げは実施しないと改めて確約した。

パウエル議長は「インフレを巡る懸念を理由に、性急な利上げは行わない。実際のインフレ、もしくは他の不均衡の証拠が出てくるのを待つ」と述べた。

また、このところの物価上昇は、経済活動の再開に「直接影響を受けた」部門に起因しており、利上げを必要とする「経済のタイト化を示すものではない」と指摘。こうした物価上昇圧力は、自然に和らぐとの見方を示した。

その上で、今後の金融政策運営にあたり、FRBは人種間の相違を含む広範な労働市場の指標に引き続き注目していくとし、「失業に関する数字のみに注目することはしない」と表明。回復の恩恵が十分に共有されるよう「あらゆる指標を見ていく」と語った。

公聴会では、バイデン政権の経済政策を巡り民主党と共和党の議員が応酬を繰り広げる場面もあり、FRBが今後数カ月間にインフレリスクと労働市場の回復とのバランス確保で微妙なかじ取りを迫られることも示された。

最近までこれらの目標の間に不一致はほとんど見当たらなかったが、パウエル議長が同小委員会で前回証言した昨年9月以降、FRBのインフレ見通しは2倍に引き上げられた。FRBが昨年9月に示した今年のインフレ率見通しが1.7%だったのに対し、先週公表した見通しでは3.4%となった。

一方、このところの雇用の伸びは期待されたペースより鈍く、一部のFRB当局者からは、コロナ禍で退職を決めた人も多い中、FRBが金融引き締めに踏み切るには危機前の水準に雇用が回復する必要があると考えるのは、非現実的とする声も上がっている。