豪銀行監督当局、住宅ローン規制を強化 追加措置も示唆

Reuters

発行済 2021年10月06日 09:19

更新済 2021年10月06日 14:37

[シドニー 6日 ロイター] - オーストラリアの銀行監督当局である豪健全性規制庁(APRA)は6日、住宅ローン規制の強化を発表した。住宅価格の高騰を招いている急速な融資の伸びが金融安定にリスクをもたらしているとして、追加措置の可能性も示唆した。

APRAのウェイン・バーンズ会長は声明で「債務比率の高い借り手の割合が増え、住宅セクター全体のレバレッジが拡大する中、金融安定への中期的なリスクが高まりつつある」と指摘した。

APRAは今回、銀行が借り手のローン返済能力を審査する際に用いる金利バッファーの最低水準を引き上げた。

銀行への書簡で、新規の借り手の返済能力を審査する際、今後はローン商品の金利に少なくとも3.0%ポイント上乗せした金利水準で評価を行うべきとした。現行では2.5%ポイントのバッファーが求められている。

10月以降も2.5%ポイントのバッファーで審査を継続する銀行については、信用リスクを反映して自己資本要件を引き上げるとした。

記録的な低金利に加え、豪準備銀行(中央銀行)が2024年までは現行0.1%の政策金利の引き上げに消極的なことから、豪州では今年、住宅価格が急上昇し、住宅購入能力や家計債務を巡る懸念につながっている。

APRAによると、今年4─6月に承認された新規住宅ローンの5分の1以上は、借入額が借り手の所得の6倍を超えていた。住宅ローンは家計所得の伸びを上回るペースで増加する見通しという。

APRAは銀行に対し、債務対所得比率(DTI)が高い場合の融資に対するリスク許容度を見直すよう指示し、こうした融資の増加が続けば、一段のマクロプルーデンス規制を検討すると伝えた。