ワイトマン独連銀総裁、5年以上任期残し年末退任 ECBのタカ派

Reuters

発行済 2021年10月20日 19:45

更新済 2021年10月21日 16:27

(見出しと本文中の総裁の名前を「ワイトマン」に修正しました)

[フランクフルト 20日 ロイター] - ドイツ連邦銀行(中央銀行)は20日、ワイトマン総裁(53)が12月31日付で退任すると発表した。個人的な理由としている。1期8年の任期は5年以上残っていた。

ワイトマン総裁は欧州中央銀行(ECB)理事会で最もタカ派的なメンバーの一人で、ECBの緩和政策に批判的だった。

10年以上総裁を務め、心機一転を図ることが連銀にとっても自分にとっても好ましいとの結論に至ったと説明した。

声明では、物価が急激に上昇するリスクを見過ごすべきでないと改めて警告。「デフレリスクだけに注目するのではなく、将来的なインフレの危険性も見失わないことが重要だ」と指摘した。

ワイトマン氏はユーロ圏債務危機のさなかの2011年5月に独連銀総裁に就任。ECB理事会では、ドラギ前総裁の政策路線に異を唱えた。ラガルド現総裁になっても、タカ派姿勢は変わらなかったが、やや態度が軟化していた。

ラガルドECB総裁は「ワイトマン氏の決定を尊重するが、大変残念だ」とする声明を発表した。

後任の総裁はドイツ新政権が決める。今のところ現財務相のオラフ・ショルツ氏が率いる左派寄りの連立となる公算が大きい。

政権交代は今後数年の財政政策がより緩和的になる可能性も意味しており、財政的保守派のワイトマン氏にとって政権と対立する局面がさらに増える可能性もあった。

ワイトマン氏が退任をラガルドECB総裁とショルツ氏に伝えたのは発表直前の20日午前だった。

ECBウォッチャーの間では、後任候補としてクラウディア・ブーフ副総裁、経済学者のフォルカー・ビーラント氏、マルセル・フラッツシャー氏、ラース・フェルド氏、ラース・ヘンドリック・ローラー氏、ジェイコブ・フォン・ヴァイツゼッカー氏、独連銀チーフエコノミストのイェンス・ウルブリッヒ氏などの名前が挙がっている。

シュナーベルECB専務理事も候補になるが、独連銀総裁になるためには現職を退任する必要がある。ECB専務理事職の方が格上と見る向きもある。