米FRB、11月に量的緩和縮小開始 資産購入月額150億ドル減

Reuters

発行済 2021年11月04日 05:30

更新済 2021年11月04日 11:27

[ワシントン 3日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)は2─3日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で、11月にテーパリング(量的緩和の縮小)を開始すると決定した。資産購入を月額150億ドルのペースで縮小し、2022年半ばにも買い入れを終える見通し。

同時にインフレ高進は「一過性」のものとの見解を維持し、速いペースでの利上げは必要ない公算が大きいとの考えを示した。

FRBは、経済に「一段の著しい進展」が見られたことを受け、資産買い入れの縮小に着手すると表明。11月に国債の買い入れを月額100億ドル、住宅ローン担保証券(MBS)を50億ドル縮小すると決定した。

物価情勢については、供給網の問題がインフレリスクの高まりにつながっているとの認識を示し、一時的である公算が大きいとしながらも、インフレ率が予想通りに低下するにはこうした要素が後退する必要があるとした。

パウエルFRB議長は記者会見で「パンデミック(世界的大流行)が収束するに従い、供給網の混乱は解消し、雇用の伸びも上向く」と指摘。「こうした動きに伴い、インフレ率も現在の高水準から低下していく」と述べた。ただ「そのタイミングの不確実性は高い」とした。

FRBは、インフレ圧力の緩和に伴い今後数カ月で雇用拡大や経済成長の加速につながると予想。

FOMC声明やパウエル議長の会見での発言は、雇用がさらに拡大するまでFRBが利上げの時期を忍耐強く見極める構えであることを示唆した。

FOMC声明は「パンデミックと経済の再開に関連する需給の不均衡が、一部のセクターで大幅な価格上昇の原因となっている」と指摘した上で、「供給制約の緩和が、経済活動や雇用の継続的な増大と、インフレ率の低下を支援すると予想される」とした。

パウエル議長は、FRBが低金利で労働市場を一段と後押しし、新型コロナウイルスのさらなる感染拡大が抑えられるまで雇用創出の限界見極めを保留する構えだと強調。

「コロナの再拡大がない文脈で労働市場の展開を見極めるのが理想的だ。そうすれば多くを判断でき、コロナ後の世界で(労働)参加率がどのように反応するか確認できる」とし、「どのような可能性があるか判断するためには、コロナ後もしくはデルタ株後にしばらく状況を見る必要がある」と述べた。

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ただ、世界的な供給網の「混乱」でインフレが高進していることは認め、供給網の問題は来年後半まで続く公算が大きいとした。米インフレ率はここ5カ月にわたり、FRBの2%目標の倍の水準で推移しており、パウエル議長は物価動向について、最大雇用に達すればFRBの利上げ条件を満たす可能性があるとしている。

金融市場では、インフレ高進を背景にFRBがパンデミック下の景気支援を早期に打ち切るのではないかとの観測が出ているが、パウエル議長は、現時点では利上げ時期について「忍耐強く」判断すると述べた。

FRBは昨年、一段の雇用拡大を促すためインフレ率上昇を容認する新たな方針を示したが、今年になって物価高が進み、FRBがどこまで新指針を堅持するか懐疑的な見方が出ていた。

パウエル議長は「われわれはまだ金利を引き上げる時期ではないと考える。最大雇用に達するにはまだ道のりがある」とした上で、来年後半には最大雇用を達成できる可能性があるとの見方を示した。

<資産買い入れ縮小>

FOMCではフェデラル・ファンド(FF)金利の誘導目標を0─0.25%に据え置くことを決定。「経済活動と雇用の指標は引き続き力強さを増した」とし、インフレ率が2%になり、ある程度の期間にわたり緩やかに2%を超える軌道に乗るまで政策金利をゼロ%近辺に維持する姿勢を維持した。

FRBはニューヨーク連銀に対し、11月半ばに買い入れの縮小を開始するよう指示。ただ具体的な指示は11月と12月のみにとどめた。

ニューヨーク連銀は11月半ば以降、月額の買い入れを国債を700億ドル、MBSを350億ドルとする。12月半ばには国債を600億ドル、MBSを300億ドルとする。