岸田首相、日中会談「まだ決定しておらず」 賃上げに株主も理解を

Reuters

発行済 2021年12月21日 21:28

[東京 21日 ロイター] - 岸田文雄首相は21日の記者会見で、国交正常化50周年を迎える日中関係に関し、首脳会談は現時点予定されていないと述べた。エネルギー価格上昇を受けた価格転嫁策を27日に打ち出すことも発表し、賃上げに株主も理解が必要と強調した。

<北京五輪対応、諸般事情を総合的に勘案>

岸田首相は、「来年は積極的に首脳外交を進めたい」と述べた。一方、米英が中国の人権状況を批判する中での日中首脳会談について問われ「また決まっていない、予定はない」と回答した。その上で「日中関係は、言うべきこと言いながら安定的関係を実現すべく努力が大切」と指摘。「日中国交正常化50周年はどうあるべきか、しっかり外交考えていきたい」とも発言した。

2月に北京で開催される冬季五輪・パラリンピックへの政府対応は「適切な時期に 五輪・パラリンピックの趣旨や精神、日本の外交の観点など、さまざまな点を勘案して、わが国の国益に照らして判断する」と従来方針を繰り返し、「いましばらくしっかりと、諸般の事情を総合的に勘案したい」と付け加えた。

<賃上げは未来への投資>

足元の原材料やエネルギー価格の上昇を受け、「中小企業の賃上げを価格に転嫁できるよう政策パッケージを27日にまとめる」と述べた。賃上げを通じた分配は「コストでなく未来への投資」と表現し、「株主にも理解が必要」と強調した。

看護や介護の現場で働く人を対象とした3%の収入引き上げを、恒久的な措置とするとの方針も述べた。

2025年度に基礎的財政収支(PB)黒字を目指す現行の財政健全化目標については、今年度内に再確認を行うとの従来答弁を繰り返した。「自国通貨建て国債はいくらでも発行可能との考えは取らない」と述べ、財政健全化を重視する姿勢を改めて明確にした。

<水際対策当面延長>

新型コロナウイルスのオミクロン株に対応した厳しい水際対策について、年末年始の状況をみながら「当面延長する」方針も示した。