英中銀、政策金利を0.50%に引き上げも判断割れる QTも開始

Reuters

発行済 2022年02月03日 22:34

更新済 2022年02月04日 01:18

[ロンドン 3日 ロイター] - イングランド銀行(英中央銀行)は3日、金融政策委員9人のうち5人の賛成多数で政策金利を0.25%から0.50%に引き上げると決定した。インフレ高進が懸念されるなか、4人は0.50%ポイントの利上げを主張した。

中銀は、12月は5.4%だった消費者物価指数(CPI)上昇率について、4月に7.25%でピークを付けるとの見通しを示した。

議事録で中銀は「現在の労働市場のタイト度合いと国内コスト・物価圧力の高まりが持続していることからみて、政策委員会の全委員は今回の利上げは妥当と判断した」と指摘した。

中銀は8950億ポンドの資産買い入れの縮小開始も決定した。

0.25%の利上げはベイリー総裁、ブロードベント副総裁、カンリフ副総裁、チーフエコノミストのピル委員、テンレイロ外部委員の多数で決定。物価圧力の高まりを認識する一方で、世界的にエネルギーなどの物価が低下することにより慎重な中銀の想定以上にインフレが鈍化することも考慮。また0.25%以上の利上げが借り入れコスト見通しに「大幅に影響」し、インフレが目標を下回る可能性に警戒感を示した。

一方でラムスデン副総裁のほか外部委員のソーンダーズ委員、ハスケル委員、マン委員は0.5%の利上げに投票。「最近の賃金の伸びとインフレ期待が一段と根付くリスクを縮小し、当面のインフレを持続的に目標に回帰させるため、今回は金融引き締めの度合いを高める必要がある」との見解を示した。

英中銀は昨年12月、新型コロナウイルス感染拡大以降、主要中銀としては初めての利上げに踏み切り、政策金利を0.1%から0.25%に引き上げた。英中銀が2回連続で利上げを実施するのは2004年以来初めてとなる。

ベイリー総裁は、多くの家計が収入を圧迫されていることから、インフレ高進と成長鈍化の間にはトレードオフがあるはずであり、投資家は英中銀が長期にわたる連続した利上げに着手したと考えるべきではないと述べた。

会見では「政策委員会は、経済がおおむね2月の見通しの中心的シナリオに沿って推移すれば、今後数カ月間に金融政策のさらなる緩やかな引き締めが適切となる可能性が高いと判断している。ただ、今回の決定から単純に推測を導き、金利が長期間にわたって上昇するのが必然だと考えるのは誤りだろう」と述べた。

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中銀は、3年後のインフレ率は目標を下回る1.6%程度になるとの予測を示している。

ベイリー総裁は記者団に対し「今回の利上げは、経済が活況を呈しているために決定したものではない」とし、「利上げを行わなければ、インフレ率は目標水準に戻らない」と指摘。英国は、生活費の増大につながる経済的な衝撃の「極端な例」に直面していると述べた。

<量的引き締め>

中銀は量的引き締め(QT)も決定、資産買い入れ(量的緩和)の縮小を開始する。保有する国債が満期を迎える3月から開始、279億ポンドを再投資しないとした。今後2022─23年で700億ポンドも再投資しないという。また政策金利が1%に達した時点で売却も検討する計画を改めて示した。

200億ポンドの社債買い入れも来年末までにゼロとする方針を明らかにした。