米インフレ低下間近か、年内利上げ加速支持に傾く=アトランタ連銀総裁

Reuters

発行済 2022年02月09日 23:56

更新済 2022年02月10日 13:09

[ワシントン 9日 ロイター] - 米アトランタ地区連銀のボスティック総裁は9日、米国のインフレ率が低下する時期が近づいている可能性があると述べた。一方で、今年の利上げペースをやや速める方向に気持ちが傾いていると語った。

CNBCのインタビューで「(インフレ率の)低下が始まることを非常に期待している。間近に迫っている証拠もある」と指摘。今年は引き続き3月を皮切りに0.25%ポイントずつの3回の利上げが適切だとみているが、「4回(の利上げ)に気持ちがやや傾いている。最初の一歩を踏み出すにあたり、経済がどう反応するかを確認しなければならない」とした。

10日に発表される1月の米消費者物価指数(CPI)は、前年同月比7%を超える上昇が予想されており、インフレ高進を受け、FRBは利上げと保有資産の縮小の加速を迫られている。

ボスティック総裁は、総合インフレ率が高い水準にあるかよりも、毎月の変動が引き続き緩やかになっていくかを重視したいと指摘。

供給網の問題など、新型コロナウイルス感染拡大後の経済活動の再開に伴う要因で物価が押し上げられているが、前月比での変動が緩やかになればこうした要因が解消に向かっていることが示されるとの考えを示し、「インフレ率が目標の2%に戻るには、前月比での変動が縮小し始める必要がある」と述べた。

その上で、「ここ数カ月はインフレは前月比で悪化していないため、春から夏にかけて緩やかな低下が見られると期待している。そうなれば、正しい方向に進んでいるとの一定の安心感が得られる」と語った。

FRBが3月15─16日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げを開始するという見方が大勢となっているものの、FRBがどの程度積極的となる必要があるのか、サプライチェーンや労働市場が新型コロナのパンデミック(世界的大流行)以前の水準に回復する可能性はあるのか、不透明感が漂う。

バンク・オブ・アメリカのグローバル経済主任、イーサン・ハリス氏は、米失業率が今年3%まで回復するという見通しを踏まえ、「米経済はストップサインを走り抜ける」という見方を示した。ハリス氏は、FRBにインフレ抑制で後手に回っていると認める用意はないと指摘。FRBが年内に毎回のFOMCで金利を引き上げ、計7回の利上げを実施するという見通しを示す。

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<エコノミストもインフレ鈍化を予測>

パンセオン・マクロエコノミクスのチーフエコノミスト、イアン・シェパードソン氏は、在庫増加、世界の物流の改善、最初の米利上げを受けて、インフレ率は急速に鈍化し、来年には目標の2%に戻るだろうと予測。自動車など主要品目の価格は年内に低下するとの見方を示した。

同氏は、利上げは必要だが、それは景気が拡大しているためであり、FRBがインフレ抑制のために「全力疾走」するわけではないと述べた。

「FRBは、インフレのトレンドが把握できたと感じれば、慎重に行動するだろう。年半ばにもそうした状況になるはずだ」と指摘。年半ばには乗用車の価格が「急落」し、住宅価格の上昇率も鈍るとし、前年との比較がインフレ率の鈍化に有利に働くとの見方を示した。