ウクライナ紛争、金融システムの試金石に=IMF金融安定報告書

Reuters

発行済 2022年04月19日 23:44

[ワシントン 19日 ロイター] - 国際通貨基金(IMF)は19日、半期に1度の国際金融安定報告書を公表した。ロシアのウクライナ侵攻は「いくつかの面で」金融安定リスクを高めたとし、金利が大幅に上昇する中で世界の金融システムの強さが試されると警告した。

今のところ世界的なシステミックな金融イベントは発生していないが、ウクライナの混乱がシステム全体で増幅され得る経路がいくつか存在すると指摘した。

銀行やノンバンクのロシアへの直接・間接的エクスポージャー、商品市場の混乱とカウンターパーティーリスクの高まり、市場流動性の低下と資金調達難、サイバー攻撃、暗号資産の使用加速などを挙げた。

「金融システムは最近の衝撃に強いことが証明されているが、将来の衝撃はより害が大きい可能性がある」とした。

新型コロナウイルスのパンデミック(世界的流行)の間に脆弱性が増大しており、戦争の激化と制裁のエスカレートによるリスクの突然の見直しによってこの一部が表面化し、相互に作用することで資産価格の急落につながる恐れがあると分析した。

投資銀行業務やウエルスマネジメント、オフバランスのサプライチェーンや商品金融、デリバティブ、偶発債務などによる間接的なエクスポージャーは「明らかになった時点で重要となり、投資家を驚かせ、カウンターパーティーリスクの急上昇を招く」可能性があるとの見方を示した。

IMFのエイドリアン金融顧問兼金融資本市場局長は、デリバティブが懸念される分野の一つであるとし「デリバティブは非常に不透明で、隠れたレバレッジがどの程度あるのかを知るのは難しい」と述べた。

報告書は為替スワップやフォワード取引について、取引解消が必要になった場合、銀行がヘッジされない可能性があると指摘。