日米豪印の首脳会合、ウクライナ情勢に懸念表明 ロシア名指しせず

Reuters

発行済 2022年05月24日 11:04

更新済 2022年05月25日 11:36

[東京 24日 ロイター] - 日本、米国、オーストラリア、インドは24日、4カ国の協力枠組み「クアッド」の首脳会合を都内で開き、ロシアを直接非難しない形でウクライナ情勢に懸念を表明した。その上で、インド太平洋地域で同様の危機が起きないよう一方的な現状変更の試みに反対する姿勢を示した。

議長を務めた岸田文雄首相は会合後に会見し、ウクライナ情勢がインド太平洋地域に及ぼす影響について率直に議論したと発言。ロシアとの関係を重視する「インドも含め、法の支配はいかなる地域でも守らなければならないとの懸念を確認した」と明らかにした。岸田首相は「(4カ国の)立場に違いがあっても一致できた点に意義がある」との認識を示し、「共有できる考え方を確認できる率直な意見交換は今後も続けたい」と語った。

一方、会合後に出した共同声明はロシアを名指しで批判せず、ウクライナ情勢について「悲劇的な人道的危機」だとした。4首脳は共同声明で、「軍事、経済、および政治的に威圧されることのない、国際的なルールに基づく秩序を支持する」とした。

クアッドの首脳会合は2021年3月に初めてテレビ会議形式で開催され、これで4回目。対面での会合は21年9月に米ワシントンで開いて以来2回目となる。

4カ国は今回の会合で、今後5年のうちに500億ドル以上をインド太平洋地域のインフラ支援と投資に充てることを目指すことを申し合わせた。違法漁業など海洋の監視強化などでも合意した。共同声明の中で名指しはしなかったが、米政府高官によると、中国が念頭にあるという。宇宙分野で4カ国の衛星情報を地域諸国に提供する取り組み立ち上げ、防災・気候変動対策に活用することも決めた。

米国は新型コロナウイルスのブースターワクチンなどを必要とする国に提供すことを、日本は国際協力銀行などがインドの医療分野に対して1億ドル融資することを表明した。

バイデン米大統領は午前に始まった会合の冒頭、「ウクライナ問題は欧州の地域問題でなくグローバルな課題だ」とした上で、「ロシアの侵攻は国際秩序、領土と主権の一体性という基本的な原則の重要性を高めた」と語った。民主党の同僚とともに、自由で開かれたインド太平洋の実現を推進すると述べた。

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