アングル:強まる景気後退警戒感、米国株にさらなる逆風か

Reuters

発行済 2022年06月22日 14:45

[ニューヨーク 21日 ロイター] - 米ウォール街の一部大手行の間で景気後退(リセッション)警戒感が強まっている。連邦準備理事会(FRB)がインフレ抑制を目指して前のめりで金融引き締めに動き始めたからだ。

S&P総合500種は年初来でおよそ21%下がり、先週には直近高値からの下落率が20%となって弱気相場入りしたが、今後米国株はさらなる逆風に見舞われるかもしれない。

モルガン・スタンレーのストラテジストチームは21日、リセッションの下での典型的な企業利益減少パターンを完全に反映するとみられるS&P総合500種は2900-3100と、足元より18-23%前後低い水準になると指摘。「FRBがインフレ問題で置かれている苦境を考えると、リセッションはもはや単なるテールリスク(発生確率は非常に低いが起きれば大事になる事象)とは言えない」と記した。

ブラックロック・インベストメント・インスティテュートのストラテジストチームは同日、安易な押し目買いを戒めつつ、多くの市場参加者は中央銀行の引き締め政策が経済成長に及ぼす「壊滅的な悪影響」を無視しているとの見方を示した。同社はリポートで「重大な成長リスクが浮上しており、われわれは米国の経済活動再開の動きが向こう数四半期にわたって止まってしまうと予想している」と述べた。

ドイツ銀行のアナリストチームはリセッションがあるとしても来年の公算が大きいと想定している。しかし同行ストラテジストのジム・リード氏は、金融環境の悪化や消費者・企業の景況感急低下に伴ってリセッションが早まるリスクがはっきり蓄積されつつあるとした上で、リセッションの確固たる証拠を目にした場合、年後半に株価が反発するとは見込みづらいと付け加えた。

ソシエテ・ジェネラルのアナリストチームは、リセッションを基本シナリオに設定していないものの、「典型的な」リセッションになればS&P総合500種は3200、1970年代の物価高と低成長が並存するスタグフレーションが到来するなら2525まで下落するとの見方を示した。

同行の資産配分責任者アラン・ボコブザ氏は「実のところリスク資産は最高値から十分な調整を経ている。それでもわれわれはまだキャピチュレーション(パニック売り)の兆しは目の当たりにしていない」と語り、引き続きリスク性の低い資産での運用を推奨している。

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