ECBによる債務国支援、最大出資の独連銀が条件提示

Reuters

発行済 2022年07月05日 05:54

[フランクフルト 4日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)への出資比率が最大のドイツ連銀(中央銀行)は4日、先月のECB臨時会合で表明された域内債務国への新たな支援に関する条件を提示した。ドイツ連銀は臨時会合で支援に異議を唱えていたという。

ECBは先月15日に臨時会合を開催し、国債利回りの格差拡大によるユーロ圏市場の分断を防ぐ措置を検討すると表明した。

しかし3人の関係筋によると、ECB理事会メンバーのナーゲル独連銀総裁は臨時会合でこれに同意せず、ECBはむしろインフレとの戦いに焦点を当てるべきと主張したという。

また、ナーゲル総裁は講演で「金融政策手段を用いてリスクプレミアムを制限することに対して警告する。なぜなら拡大したスプレッドが根本的に正当化されるかどうかを確実に立証するのは事実上不可能だからだ」と述べた。

その後、ECBのデギンドス副総裁は、ECBのユーロ圏分断化防止策についてセーフガード措置が盛り込まれると表明。「モラルハザード防止に向け適切なセーフガード措置を講じた上で、分断化を防ぐ」と述べた。

この会合以降に発言したECB当局者らはラガルド総裁が示した分断化阻止の立場を支持しており、ナーゲル氏の反対は大きな障害にはならないとみられるが、1月にナーゲル氏が総裁に就任して以降初めて、ラガルド氏との間に明らかな意見の不一致が生じた。

ECBは、ドイツなど北欧諸国の満期を迎える国債から得た資金で、イタリア、ギリシャ、スペイン、ポルトガルの国債を買い増し、利回り格差の縮小を図ろうとしている。また、新たな資金で南欧諸国の国債をさらに買い入れるための新たな手段にも取り組んでいる。

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