安倍元首相急死から一夜、参院選最終日 各党予定通り遊説

Reuters

発行済 2022年07月09日 11:05

[東京 9日 ロイター] - 安倍晋三元首相の急死から一夜明けた9日、あす投開票の参議院選挙は最終日を迎え、各党は遊説を再開する。物価高を中心とした経済対策、安全保障政策などを争点に、与野党が125議席(改選124、非改選の欠員補充1)を奪い合う。

与党・自民党総裁の岸田文雄首相は山梨県富士吉田市を訪れ、その後に新潟県へ移動する。第2次安倍政権で外相を務め、初当選も同期だった岸田氏は安倍元首相の死亡が確認された後、「決して暴力に屈しないという断固たる決意のもと、明日は予定通り選挙活動を進める」と語っていた。

連立与党の公明党・山口那津男代表は、神奈川県横浜市、川崎市を回る。与党は参院全体(248議席)の過半数(125議席)維持を勝敗ラインに掲げている。岸田首相の政権運営を占う上では与党で改選過半数(63議席)を上回るかどうかも焦点だ。

米調査会社テネオ・インテリジェンスは、安倍氏が死亡したことの影響を本格的に精査するのは時期尚早とした上で、「同情票が与党の票を押し上げる可能性がある」と分析する。

日本維新の会の松井一郎代表は激戦が伝えられる京都府内を回り、国民民主党の玉木雄一郎代表は神奈川県川崎市で支援を訴える。

立憲民主党の泉健太代表、共産党の志位和夫委員長、社民党の福島瑞穂党首、NHK党の立花孝志党首も街頭演説を行う予定。

8日の銃撃事件を受け、総務省は各都道府県の選挙管理委員会に警察など関係機関との連絡体制を確認するよう通知した。

◎勝敗ラインや注目の数字、各党の現有議席数は以下の通り。

・非改選と合計で与党過半数、55議席が必要

非改選議席で与党は70議席(自民56、公明14)を確保しており、参院の過半数125議席を確保するには与党は今回55議席確保が必要。現有議席69(自民55、公明14)と比べ14議席減少しても達成可能。

このため、二階敏博元自民党幹事長は3月のBSテレ東番組で「過半数では不十分」と述べていた。

支持基盤が安定している公明党が改選14議席を維持できると仮定すると、自民単独では41議席の確保が必要。

・改選過半数、与党63議席

岸田文雄首相が盤石な政権基盤を確保するには、改選議席の過半数の63議席が必要との見方が多い。現有69議席より6議席少ない。公明が改選14議席を維持すると仮定すれば自民党単独では49議席で達成可能。

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・改憲発議に必要な3分の2議席確保、「自公維国」で82議席

憲法改正に前向きな姿勢を示している与党と維新と国民民主を加えた改憲勢力が、憲法改正の発議に必要な3分の2(166議席)の獲得には82議席必要。

・ 各党の現有議席

改選 非改選 計

自民 55 56 111

立民 23 22 45

公明 14 14 28

維新 6 9 15

国民 7 5 12

共産 6 7 13

れいわ 0 2 2