トルコ中銀が利下げ、「経済成長に必要」 物価高の中で市場に衝撃

Reuters

発行済 2022年08月19日 00:33

更新済 2022年08月19日 07:55

[アンカラ 18日 ロイター] - トルコ中央銀行は18日の金融政策委員会で、政策金利を1%ポイント引き下げ、13%とした。インフレ率が80%近くに達する中での利下げは全く予想外で、金融市場に衝撃が走った。

中銀は昨年末にかけて5%ポイントの利下げを実施した後は、過去7カ月にわたり政策金利を14%に据え置いていた。今回の政策決定会合についてロイターが実施したエコノミスト調査では、14人が主要政策金利の1週間物レポレートが据え置かれると予想。1人が年内の利下げを予想していた。

中銀政策委員会は、先行指標で第3・四半期の景気失速が示されているため行動を起こす必要があったとし、「世界的な経済成長に対する不確実性が高まり、地政学的なリスクが増大する中、工業生産の成長と雇用の増加を維持するために、金融環境を支援的な状態に維持することが重要」とした。

その上で、新しい金利水準は「現在の見通しの下で適切」との見方を示した。

トルコ統計局が今月3日に発表した7月の消費者物価指数(CPI)上昇率は前年比76.9%と、24年ぶりの高水準を更新。

中銀は、物価上昇の背景にはエネルギー価格上昇の影響が遅れて出ていることや、供給面での衝撃などがあると指摘。中銀や他の当局の措置でディスインフレが始まるとの見方を改めて示した。

エルドアン大統領は長らく低金利を提唱。実質金利が大幅なマイナス圏に陥り、国民の生活は圧迫されている。

アナリストは今回の利下げに落胆を表明。Abrdn(ロンドン)のファンドマネジャー、キエラン・カーティス氏は「全く言葉を失う。こうしたことは明らかに行なうべきでない」と述べた。

利下げを受け、トルコリラは対ドルで1.2%安の18.15リラとなった。リラ相場は昨年、対ドルで44%下落。今年に入ってからは27%下落している。

JPモルガンは今回の決定について、最近の外貨準備高の増加や「軟調な世界環境と国内貸し出し金利の急上昇」を受けた「日和見的」な対応だと指摘。現行のポリシーミックスは「最終的には撤回、もしくは景気悪化につながる」との見方を示した。