米経済、横ばい推移 労働供給と物価圧力に一時的改善=連銀報告

Reuters

発行済 2022年09月08日 03:58

更新済 2022年09月08日 05:54

[7日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)は7日に公表した地区連銀経済報告(ベージュブック)で、経済活動は7月から8月終盤にかけて横ばいで推移したとの認識を示した。ただ、企業から労働力不足と価格圧力が一時的に緩和したとの報告があったとした。経済活動は来年にかけてさらに軟化する見通しだ。

報告書は「労働市場は全般的になおタイトな状況にあるが、ほぼ全ての地区で労働力の確保が多少改善したとの報告があった」と指摘。物価については「なお高水準にあるが、9地区で上昇率がある程度緩やかになったと報告された」とした。

今回の報告書は、報告書は8月29日までに12地区連銀が全国の調査先企業から受けた報告に基づき、サンフランシスコ地区連銀が作成した。

報告書は「今後の経済成長の見通しは概して弱く、調査先は今後半年から1年で需要がさらに軟化するとの見通しを示した」と記した。

インフレ率は約40年ぶりの高水準で推移し、FRB目標の3倍超となっている。最近は供給網の問題が改善し、労働市場の逼迫が緩和しつつあるという明るい兆しもあるが、FRB当局はインフレ期待の高まりが企業や消費者に定着することを依然として恐れている。

インフレ抑制に必要な積極的な利上げが景気後退を引き起こす危険性が高まっていることも警告している。

シカゴ地区連銀の管轄区では「多くの」調査先が景気後退の可能性について懸念を表明した。フィラデルフィア地区連銀管轄区の人材派遣会社は受注の減速が「過去の景気後退と同水準に近づいている」と報告した。

報告書の内容からは、失業率の急上昇を招かずにインフレを抑制するというFRBの目標達成は引き続き可能との認識がうかがえる。

クリーブランド地区連銀は「全般的に経済状況が軟化し、供給の混乱がやや改善したことで、インフレ圧力がいくらか緩和されたようだ」と報告。「まだ高い水準ではあるが、投入コストの上昇を報告した企業の割合と販売価格の上昇を報告した企業の割合は、いずれも1年超ぶりの低水準に下がった」と指摘した。