ECB、初の0.75%利上げ 一段の引き上げ示唆

Reuters

発行済 2022年09月08日 21:54

更新済 2022年09月09日 01:36

[フランクフルト/ベルリン 8日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)は8日の理事会で政策金利を0.75%引き上げた。エネルギー危機を受けてリセッション(景気後退)の可能性が高まっているにもかかわらず過去最大の利上げに踏み切ると同時に追加利上げを示唆し、インフレとの戦いを優先させる姿勢を鮮明にした。

中銀預金金利は0.75%、リファイナンス金利は1.25%と2011年以来の高水準となった。インフレが広がり定着するリスクが高まっていることが背景にある。

ECBは声明で「需要を抑制し、インフレ期待が持続的に上方へシフトするリスクを避けるために、今後数回の会合で金利をさらに引き上げると予想している」と表明した。10月と12月の理事会でも利上げが実施されるとみられる。

市場では0.75%の利上げ確率が80%となっていた。ロイターがまとめたエコノミスト調査では0.75%の利上げ予想は半数をわずかに上回っていた。

ラガルド総裁は理事会後の記者会見で、インフレ率を中期的な目標である2%に近づけるための利上げを「前倒し」し、金利を0.75%ポイント引き上げる必要があるとの見解で政策担当者は一致していたとし、「まだ旅路の半ばにある」と述べた。

その上で「今回は単独の決定ではない。一段の利上げを実施していくということだ」としながらも、「0.75%ポイントの幅での利上げが普通であるかのように、このペースで利上げをしていくとは言っていない」と語った。

今回の利上げ後もECBは他の多くの国、特に米連邦準備理事会(FRB)に遅れをとっており、一部アナリストは、7月以降の大幅利上げはそれに追いつくためだと見ている。

ラガルド総裁も「インフレ率は依然高すぎ、長期にわたって目標を上回る可能性があるため、さらに金利を引き上げる見通しだ」と述べ、今回の決定は全会一致だったことを明らかにした。

今後について総裁は、インフレ目標の達成に向けて数回の理事会での利上げが必要だと指摘。「数回とは何回かと問われれば、今回を含めて2回以上だろうし、5回以下だろう」とし、2023年初めまで利上げが続く可能性を示唆した。

コメルツ銀行のエコノミストは「来年初めまでに預金金利を1.75%まで引き上げるが、その後は景気後退が鮮明となり、利上げプロセスを一時停止すると、引き続き予想している」との見方を示した。

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モルガン・スタンレーは「今日の大幅利上げ決定は、ECBがインフレ対策に真剣であるとの信認を取り戻そうとしていること、物価安定を確保するために成長率の低下という代償を受け入れる意思があることを市場に示すものだ」と指摘した。

ECBはインフレ予想を引き上げ、予測期間全体を通じて物価上昇率が目標の2%を大幅に上回ると予想。「ECBスタッフはインフレ予測を大幅に上方修正した。インフレ率は2022年に平均8.1%、23年に5.5%、24年に2.3%と予想している」とした。