アングル:波乱の為替市場、トレーダーからは「まるでカジノ」

Reuters

発行済 2022年09月27日 15:42

[ニューヨーク/ロンドン 27日 ロイター] - 大荒れの様相を呈している最近の外国為替市場について、取引するトレーダーからは「まるでカジノのようだ」との声が出ている。

過去1週間の為替市場は波乱の展開。ポンドは最安値に急落し、日本政府・日銀は円買い介入を実施。ユーロ/ドルは等価割れの水準で一段と値を下げた。最強通貨のドルは20年ぶりの高値で取引されており、一部の市場関係者はボラティリティーが収まる兆しはないと指摘している。

「現時点ではまるでカジノのようだ」と語るのはマネックスUSAのバイスプレジデント(ディーリング・トレーディング担当)、ジョン・ドイル氏。顧客に対しリスクを十分に警戒するよう助言しており、社内でも過剰なリスクを取らないよう規律を徹底しているという。

ドイツ銀行が算出する通貨ボラティリティー・インデックスは26日、13.55と2年半ぶり高水準に跳ね上がった。

ポンドと円の下げが目立つが、G10通貨は今年に入り軒並み対ドルで下落。平均下落率は約16%だ。

ロンドンの決済会社キャクストンの市場情報担当トップ、マイケル・ブラウン氏は「ここ数日は忙殺されており、睡眠不足だ。11時半に就寝しても、ポンドが最安値に下落して3時半に目が覚める。あまり楽しいとは言えない」と語った。

こうした相場展開にはベテラントレーダーも驚きを隠せない。

ヘッジファンド、クロフォード・ベンチャーズのアクシャイ・カンボジ共同最高投資責任者は、ポンドの大幅な調整は予想していたが「ここまで大幅な調整は予想していなかった」とコメント。

「われわれのチームは世界の複数の拠点から24時間体制で働いている」とし、ポンドの方向性はイングランド銀行(英中央銀行)の対応に完全に左右されるため、ポンド取引はしていないと語った。

<ボラティリティーの継続見込む>

ボラティリティーが収まる兆しは見られない。

CIBCキャピタル・マーケッツの北米FX戦略責任者、ビパン・ライ氏は「無秩序な動きが続く下地がまだあるように思える」と指摘。主因はドル高で、今後のドルの見通しは米連邦準備理事会(FRB)のタカ派度合いに左右されるとの見方を示した。

ドル一強の背景には、米金利上昇、相対的に好調な米経済、国際金融市場の混乱に伴う避難通貨買いが挙げられる。これに加えて欧州のエネルギー危機がユーロの重しに、英国の財政悪化懸念がポンドの重しに、日米金利差が円の重しになっており、ドル高に拍車がかかっている。

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為替取引にボラティリティーはつき物だが、ここまでさまざまなリスクが重なるのはまれだ。