ECB、連続0.75%利上げ TLTRO条件変更

Reuters

発行済 2022年10月27日 21:44

更新済 2022年10月28日 01:36

[フランクフルト 27日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)は27日の理事会で政策金利の0.75%ポイント引き上げを決定した。インフレ率を目標水準に回帰させるために追加利上げの見通しを示した。

同時に、銀行に早期返済を促すため、ターゲット型長期流動性供給オペ第3弾(TLTRO3)の条件変更を決定した。借入コストの一段の上昇につながり、一種の利上げとして機能する可能性がある。

一方で、資産買い入れプログラム(APP)で購入した債券33億ユーロの償還資金の再投資は継続すると表明。ただ、保有債の縮小に関する詳細な協議を12月から開始するとした。

利上げは3会合連続。0.75%の利上げは前回9月に続き2回連続となる。中銀預金金利は0.75%から1.5%に引き上げられ2009年以来の高水準となった。リファイナンス金利は1.25%から2%に、限界貸出金利は1.5%から2.25%に引き上げた。

ECBは声明で「インフレ率がタイムリーに2%に回帰するよう、追加の利上げを想定する」と表明した。

声明からは、あと「数回」の理事会で利上げが決定される可能性があるとの文言が削除されたが、ラガルド総裁は理事会後の記者会見で「われわれは将来、追加利上げを決定するだろう。それは数回の理事会で行われるかもしれない」と述べた。

その一方、ラガルド総裁は政策引き締めの「かなりの」部分が終わったとも発言。市場では政策金利が従来想定ほど高水準に引き上げられない兆候として受け止められた。

投資家は来年の金利のピークを2.6%近辺と想定。直近の3%近くという見方から低下した。

米資産運用大手PIMCOのポートフォリオマネジャー、コンスタンティン・ベイト氏は「ECBは12月に0.50%ポイントの追加利上げを行い、来年は0.25%ポイント刻みに移行するだろう。利上げサイクルの軸足が政策正常化から政策引き締めに移るためだ」と述べた。

もっとも、ラガルド総裁は正常化の範囲を「超える」必要があるかもしれないと主張。経済活動を制約し始める水準まで政策金利を引き上げる可能性を示唆した。

ECBの決定を受けユーロは小幅安、ユーロ圏国債利回りが急低下したほか、銀行株は上昇した。市場はよりタカ派的な決定を織り込んでいたとの見方が強まった。

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ラガルド総裁はまた、ロシアによるウクライナ侵攻やその他の世界的な不確実性を踏まえると、ユーロ圏経済は多くの下振れリスクに直面しており、インフレリスクは上向きに偏っていると指摘。将来的に賃金上昇スパイラルが発生する可能性について「賃金データ、およびこのところの賃金を巡る合意で、賃金が上昇している可能性が示されている」と述べ、ECBは長期インフレ期待を注視していると強調した。

一部ユーロ加盟国がECBの利上げで景気後退(リセッション)に陥るとの懸念を示していることについては、ECBはインフレを抑制する責務を負っているとし、各国政府に対しインフレを悪化させないようエネルギー危機への支援策は慎重に実施するよう呼びかけたと表明。「誰もが責務を負っている。ECBの責務は物価安定だ」と述べた。

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