中国、人民銀行総裁と財政相が留任 継続性を選択

Reuters

発行済 2023年03月12日 17:16

[北京 12日 ロイター] - 中国の全国人民代表大会(全人代)は12日、中国人民銀行(中央銀行)の易綱総裁と劉昆財政相の留任を決定した。

両氏はそれぞれ65歳と66歳で、公式な引退年齢とされる65歳に達していることもあり、留任は予想外だった。

新政府のメンバーは多くが留任で、予想ほど大幅な変更はなかった。

エコノミスト・インテリジェンス・コーポレート・ネットワークのの中国担当ディレクター、マティ・ベキンク氏は「重要な経済ポストが留任になったのは、信頼性と安定の重視を示唆している」と分析。

「現在政府が直面する問題を暗黙のうちに認めているとも考えられる。3期目の習近平政権にとっての真の課題は、中国経済の構造的不均衡に対処し、長期的な競争力確保に向け必要な改革を行えるかどうかだ」と指摘した。

中国政府は今年の経済成長目標を5%前後に設定した。昨年の成長率は3%にとどまっている。

このほか、国防相に李尚福・中央軍事委員会委員が選出された。

李氏はロシアの兵器輸出企業からの戦闘機や装備品の購入を巡り、2018年から米国の制裁対象とされている。

国家安全相は陳一新氏、公安相は王小洪氏の留任が決まった。

秦剛外相と賀栄司法相も留任となった。

副首相には丁薛祥・共産党政治局常務委員のほか張国清氏、劉国中氏、何立峰氏が選出された。

一連の人事で最大の目玉は11日に首相に選出された李強氏。同氏は元上海市トップで習近平国家主席に近い人物とされており、新型コロナウイルス規制で打撃を受けた経済の立て直しを担う。

ピンポイント・アセット・マネジメントのチーフエコノミスト、Zhang Zhiwei氏は「金融の専門家を留任させることで、市場にポジティブなシグナルを送った」との見方を示した。

易綱人民銀総裁は国際派として知られるが、昨年10月の共産党大会で中央委員・中央委員候補から外れたため退任が予想されていた。