豪中銀、物価警戒 生産性低迷や移民急増の影響懸念=四半期報告

Reuters

発行済 2023年05月05日 14:41

[シドニー 5日 ロイター] - オーストラリア準備銀行(豪中央銀行)は5日、四半期金融政策報告を公表し、生産性の低さ、エネルギー価格の上昇、人口増加に伴う家賃の高騰を踏まえインフレリスクは上向きと指摘した。

豪中銀は2日、政策金利を市場の据え置き予想に反して0.25%引き上げた。報告書は、インフレを抑制するためにさらなる利上げが必要になる可能性があると改めて指摘した。

報告書はインフレ率について、昨年終盤の7.8%がピークとの見方を示したうえで、2025年半ばまでに2─3%の目標レンジの上限に戻ると予想した。インフレの低下ペースは他の多くの先進国に比べて鈍い。

「生産性の伸びが弱いままの場合、高インフレ環境でコスト圧力緩和に伴い企業の利益率が拡大する場合、物価上昇と賃金の間に予想以上のフィードバックがある場合、賃料が予想以上に上昇した場合、インフレはより持続的になる可能性がある」と述べた。

現在6.6%のコアインフレ率については、年末までに4.0%程度に減速し、25年半ばに2.9%になると予想。ただこの予想は、ここ数年低迷している生産性が向上することが前提としている。

移民の急増が家賃上昇に拍車を掛けており、今後2─3年の間にインフレに「重大な」影響を与える見込み。

ガスや電気料金の上昇も今年、インフレを加速させ、企業はコストが低下しても値下げせず、利益率の拡大を図るリスクもある。

報告書は「インフレ率が目標を上回る状態が長引くほどインフレ期待が高まり、価格や賃金の設定行動も調整されるリスクが高まる」とし「そうなれば、インフレ率を目標に戻すためには、さらなる金利上昇、失業率の大幅な上昇が必要になる」と述べた。