Reuters
発行済 2024年04月25日 17:35
Takaya Yamaguchi Kentaro Sugiyama
[東京 25日 ロイター] - 外国為替市場で24日、節目の1ドル=155円を突破したことでドル売り/円買い介入への警戒感が一段と高まってきた。連休中の東京市場はメインプレーヤーが減り、急な動きにつながりやすい。市場では、政府・日銀が介入に踏み切っても、米当局はビナイン・ネグレクト(優雅なる沈黙)で応じるとの見方も出ている。
<財務相不在を問う>
「為替介入はワンショット100万ドルだ」。為替介入を巡り、25日の参院財政金融委員会で大塚耕平委員(国民民主)はこう述べた。
大塚委員は「来週から大臣は出張になる」とし、「事務方には上限500本(5億ドル、155円換算で約775億円)まで使っていいとアローアンス(許容)を与えていかないと、ゴールデンウィークが開けたころには165円という数字で、ここでまた議論することになりかねない」と訴えた。
鈴木財務相は、5月初旬に予定されるアジア開発銀行(ADB)年次総会に出席。年次総会に合わせ、慣例となっている日中韓3カ国や、ASEAN(東南アジア諸国連合)も含む財務相・中央銀行総裁会議にそれぞれ参加する方向だ。鈴木財務相は23日の閣議後会見で、これらの会議に「出席する方向で調整している」としていた。
財政当局としては「どこでも適切な対応を取ることは可能」との立場を崩していないが、空白の時間帯との見方が広がれば投機的な円売りを誘発しかねない。
危機感を煽る野党の声に対し、鈴木財務相は「今の局面で多くを話せないのはご理解いただきたい」と断ったうえで、「市場をしっかり今、注目している。その注目しているものをもとに適切に対応していくことはいささかも変わりない」と応じた。
<米PCEにも注視>
実弾介入の可否を巡っては「いつあってもおかしくない」(メガバンク幹部)との見方が多い。ここにきて心理的節目となる155円を突破したことで、警戒の度合いは一段と増している。
「タカ派化しきれないと予想される26日の日銀金融政策決定会合後の円安圧力に対峙すべく、(実弾介入は)温存されているものと考えるのが自然」と、SMBC日興証券の野地慎チーフ為替・外債ストラテジストは語る。
東京市場での取引が細る大型連休を控え、米連邦準備理事会(FRB)がインフレ指標として重視するPCEデフレーター(26日発表)も注目される。「ディスインフレ傾向を確認できず予想対比で上振れした場合は、年内の米利下げ観測がさらに遠退きかねない」と、大和証券の石月幸雄シニア為替ストラテジストは言う。
連休中の4月30、5月1両日には米連邦公開市場委員会(FOMC)が予定される。
円の一段安に先立ち、17日に開催された初の日米韓財務相会合で急速な円安、ウォン安への深刻な懸念を3カ国で共有。為替市場の動向について「緊密に協議する」ことで合意したことから、市場では「22年秋の介入時と同様に、実弾介入に踏み切っても米当局の理解を得られるのではないか」(前出のメガバンク幹部)との見方が出ている。
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