20日の後場の取引では以下の3つのポイントに注目したい。
・レンジ上限を突破、市場はヒラリー氏で織り込む
・ドル・円は103円56銭付近、ドル買い一服、トランプ・リスク後退に期待感も
・日立化成、東芝など3社の目標株価変更
■レンジ上限を突破、市場はヒラリー氏で織り込む
日経平均は続伸。
175.14円高の17174.05円(出来高概算8億4000万株)で前場の取引を終えた。
米株高や原油高が好感された格好のなか、小幅に続伸して始まると、その後節目の17000円を回復してきている。
寄付き直後は為替の円高が重しとなっていたが、株式市場の強い動きの中で円相場も円安に振れており、じりじりと上げ幅を拡大させている。
米大統領選の最後のテレビ討論会が19日(日本時間20日午前10時)に開始するなか、これを見極めたいとする模様眺めムードもあったが、市場はヒラリー氏との見方で織り込んでいるようである。
セクターでは、不動産、その他製品、証券、倉庫運輸、ゴム製品、陸運、銀行、鉄鋼、金属製品、建設などが強い動きに。
一方で、医薬品、化学、水産農林、精密機器が小安い。
売買代金上位では、任天堂 (T:7974)、ソフトバンクグ (T:9984)、トヨタ自 (T:7203)、ファーストリテ (T:9983)、ファナック (T:6954)、三井不 (T:8801)が堅調。
半面、ソニー (T:6758)、オリックス (T:8591)が利食いに押されている。
米大統領選の最後のテレビ討論会を見極めたいとしてこう着感の強い展開を見込んでいたが、市場は既にヒラリー氏で織り込んでいるようである。
これにより日経平均はこれまでのボックスレンジの上限を突破し、週足ベースの一目均衡表の雲下限(17063円辺り)を突破してきている。
雲上限は17910円に位置しており、これを意識してくるというよりは雲の中で強弱感が対立しやすい。
ただし、9月のリバウンド局面では雲下限をキープできなかったこともあり、まずは雲下限を支持線に変えてくるかが注目される。
まずは、テレビ討論会を終えての市場の反応を見極めたいところ。
また、欧州中央銀行(ECB)理事会(20日)にも注目が集まろうが、量的緩和のテーパリングを協議している兆候が示されるといった観測もあったが、決定は買い入れ延長の是非とともに12月に持ち越されるとの見方がコンセンサスであり、市場反応は無風といったところか。
(株式部長・アナリスト 村瀬智一)
■ドル・円は103円56銭付近、ドル買い一服、トランプ・リスク後退に期待感も
20日午前の東京外為市場では、ドル・円は買い一服。
日本株高を背景に上昇した後は米大統領選候補者討論会を注視する展開となった。
ドル・円は、103円前半でもみあった前日海外市場の流れを受け継いだが、日経平均株価の堅調地合いでドル買い・円売りに振れた。
その後は米大統領選のテレビ討論会が注目され、小動きとなった。
民主党クリントン氏の共和党トランプ氏へのリードをさらに拡大できるかが焦点で、トランプ氏の巻き返しならドル売り材料になるとみられる。
ランチタイムの日経平均先物は引き続き上昇基調を維持しており、目先は株高継続を見込んだドル買いが入りやすい見通し。
テレビ討論会の結果次第でドルは104円を目指す展開となる可能性もあろう。
ここまでのドル・円の取引レンジは103円35銭から103円66銭、ユーロ・円は113円41銭から113円72銭、ユーロ・ドルは1.0966ドルから1.0980ドルで推移した。
12時20分時点のドル・円は103円56銭、ユーロ・円は113円68銭、ポンド・円は127円31銭、豪ドル・円は79円59銭で推移している。
(為替・債券アナリスト 吉池威)
■後場のチェック銘柄
・日立化成 (T:4217)、東芝 (T:6502)など3社の目標株価変更
・値上がり寄与トップはファーストリテ (T:9983)、1銘柄で日経平均を約46円押し上げ
・省電舎 (T:1711)、ゲンキー (T:2772)、システムディ (T:3804)など8社がストップ高
※一時ストップ高(気配値)を含みます
・ダドリー米ニューヨーク連銀総裁
「経済が軌道に乗れば年内の利上げを見込む」
☆後場の注目スケジュール☆
・15:00 スイス・9月貿易収支(8月:+30.2億フラン)
・15:00 独・9月生産者物価指数(前月比予想:+0.2%、8月:-0.1%)
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