■日経平均22000円割れ、制裁関税発動で反発
先週の日経平均は大幅下落となった。
週間ベースでは3週連続の下落。
米中貿易摩擦による景気の悪化懸念から、上海総合指数を中心にアジア株が下げたことをきっかけに2日の後場に日経平均は急落。
先物主導で売られる中、日経平均は一時520円安と急落して取り引き時間中では5月30日、終値ベースでは4月17日以来となる22000円割れに沈んだ。
NYダウは6月のISM製造業景況感指数が市場予想を上回ったことなどを好感して、週初は3日続伸で始まったものの、独立記念日による休場を控えた3日は、中国の裁判所が半導体企業マイクロン・テクノロジーの販売禁止を命じたことをきっかけにハイテク銘柄を中心に売りが広がりNYダウも下げた。
米中通商問題を巡る先行き不透明感や中国の景気減速への警戒感、上海総合指数の下げなどから日経平均は5日にかけて4日続落した。
米欧間の貿易摩擦の緩和期待から休日明けのNYダウが上昇したことから、6日の日経平均は5日ぶりに急反発。
米国の対中制裁関税の発動を受けて先物から買戻しが先行した。
また、6月の米雇用統計で非農業雇用者数が前月比21万3000人増と予想を大幅に上振れたことを好感して、6日のNYダウは前日比99.74ドル高と続伸している。
■日経平均は戻りを試す場面も、上海総合指数に影響受けるか
今週の日経平均は短期的な戻りを試す場面がでてきそうだ。
米中、米欧間の貿易摩擦問題は引き続き警戒材料であり、今後は新たに2000憶ドル相当の中国製品を対象に追加関税を掛けるかどうかに懸念はシフトしている。
引き続き、上海総合指数の動きに左右されることが予想され上値は重いことが想定される。
しかし、米国が日本時間6日午後1時過ぎに対中制裁関税を発動した後は、イベント通過のアク抜け的な動きから買戻しが先行した。
5日までの4日続落で日経平均は値幅で750円以上も下げ、マザーズ指数は5日に昨年9月6日以来となる1000ポイント割れを見るなど目先的な「陰の極」を示す現象が出現している。
テクニカル的にも、急落していた日経平均の5日移動平均線21726円を6日に回復してきたことで、反発に弾みがつく可能性が高まっている。
6月の米雇用統計の内容が米国経済の堅調さを示すものだったことも支援材料だ。
ただし、週後半は、16日の海の日による3連休を意識して、手控えムードが強まることも予想される。
■消費・小売の決算発表ヤマ場、物色人気はバイオにも
上場企業の決算では消費・小売関連の発表がピークを迎える中、3月期決算企業の第1四半期(4−6月)決算も、11日のホギメディカル (T:3593)を第1号にスタートする。
本格化するのは23日以降となるが、中国関連株に位置付けられていた機械株や半導体関連などには、制裁関税の影響は出ていないと考えられるが、市場の関心は次第に高まることになりそうだ。
それまでは、個別株物色が継続することが見込まれる。
アルツハイマー病を対象とした新薬候補の臨床試験の成果が評価されたエーザイ (T:4523)が6日にストップ高し、米国では開発パートナーのバイオジェンも急騰したことから、バイオ関連株に動意が広がる可能性がある。
また、東証1部では日本光電 (T:6849)、カシオ (T:6952)、村田製作所 (T:6981)、日本ケミコン (T:6997)と電気機器業種に年初来高値銘柄が増えてきていることも手掛かりとなりそうだ。
■12日にファーストリテ決算、13日は中国6月貿易収支
来週の主な国内経済関連スケジュールは、9日に5月経常収支、6月景気ウォッチャー調査、日銀支店長会議(黒田日銀総裁が挨拶)、さくらレポート(地域経済報告)、10日に6月マネーストック、6月工作機械受注、11日に6月企業物価指数、5月機械受注、5月第3次産業活動指数、12日に6月都心オフィス空室率の発表がそれぞれある。
このほか、11日から18日に掛けて安倍首相がベルギー、フランス及び中東を歴訪、12日はパリで日本博「ジャポニスム2018」の開会式がある。
一方、海外経済関連スケジュールでは、9日に米5月消費者信用残高、10日に中国6月生産者物価・消費者物価、11日に米6月生産者物価指数、12日に米6月消費者物価指数、米6月財政収支、13日に中国6月貿易収支、米6月輸出入物価指数、米7月ミシガン大学消費者マインド指数がそれぞれ発表される。
このほか、11日にはブリュッセルで北大西洋条約機構(NATO)首脳会議、13日は米トランプ大統領による訪英の外交スケジュールが控えている。
また、11日にローソン (T:2651)、12日はファーストリテイリング (T:9983)、ユニー・ファミリーマート (T:8028)などの決算が控えており、米国では13日に米シティグループ、JPモルガンの決算発表がある。
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