[東京 16日 ロイター] - 来週の外為市場でドル/円は、23日のパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長講演を控えて、落ち着きどころを探る展開となりそうだ。ドルと円が共に強く「力比べ」となる中、105円台では買い、107円が迫ると売りという最近のパターンが踏襲される可能性が高い。
予想レンジはドルが105.00━107.00円、ユーロが1.1100―1.1200ドル。
パウエルFRB議長は23日、ワイオミング州ジャクソンホールでの年次経済シンポジウムで講演する予定だ。今年のシンポジウムのテーマは「金融政策の挑戦」。
「このところのドルは105円台で下げ渋り、107円に近づくと上値が重くなる傾向が続いている。ジャクソンホールまではこれが踏襲され、上にも下にも行き切れないのではないか」(トウキョウフォレックス上田ハーローの営業推進室長、阪井勇蔵氏)との声がある。
トランプ米大統領が連日FRBに利下げ要請をする中、市場では連続利下げや大幅利下げの思惑が広がっており、「パウエル氏が講演でこうした見方を裏書きするかに関心が注がれている」(同)という。
一方、欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーのレーン・フィンランド中銀総裁が15日、9月に一連の景気刺激策が発表されるとの見方を示し、ドイツ10年国債利回り (DE10YT=RR)はマイナス0.71%と過去最低を更新した。
「金融緩和でECBはFRBに一歩先んじているため、ユーロ安とドル指数の高止まりは続く。クロス円での円高進行も要警戒だ」(FX会社)という。
ドル指数 (DXY)は98前半と月次で見て2017年5月以来の高水準にある。ユーロ/円は117円後半と2017年4月以来の安値圏となっている。
金融政策以外では、米長期金利や株価動向、米中摩擦などがテーマ。
米10年国債利回り (US10YT=RR)は15日、1.4750%と2年ぶりの低水準をつけた。ただ、長期金利から期待インフレ率を差し引いた実質ベースで見た場合、日米金利差はほぼ無いに等しく、日米金利差の縮小によるドル安圧力は制御されている。
世界経済の減速懸念や米中摩擦に加え、香港で「逃亡犯条例」改正案を巡る抗議活動が続き、軍部隊の投入による鎮圧も辞さない姿勢を中国政府が示していることは、リスク回避の円買いを招きやすい。
中国財政省は15日、米政府が対中追加関税第四弾を発表したことを受け、中国側としても対抗措置をとらざるを得ないと警告した。
(為替マーケットチーム)