今週の新興市場では、日経平均が断続的に大きく値を下げるなか、マザーズ指数や日経ジャスダック平均も下落した。
パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の再任に伴う米利上げ加速の観測、南アフリカで確認された新型コロナウイルスの新たな変異株への懸念などが浮上し、新興市場でもリスク回避的な売りが出た。
ただ、成長期待株には根強く買いが入ったほか、IPO銘柄の一角も引き続き賑わいを見せ、個人の投資意欲の根強さが窺えた。
なお、週間の騰落率は、日経平均が-3.3%であったのに対して、マザーズ指数は-2.2%、日経ジャスダック平均は-1.6%だった。
個別では、マザーズ時価総額上位のフリー (T:4478)が週間で1.5%安となったほか、ビジョナル (T:4194)が同14.0%安と大きく下落。
売買代金上位ではグローバルウェイ (T:3936)が急反落し、アスタリスク (T:6522)も売りに押された。
また、エスユーエス (T:6554)などが週間のマザーズ下落率上位に顔を出した。
一方、JMDC (T:4483)は東証1部への市場変更を発表して同7.2%高、FRONTEO (T:2158)はスズケン (T:9987)との提携で同26.0%高、そーせいグループ (T:4565)は新薬候補の導出で同29.4%高となった。
前の週に上場したGRCS (T:9250)は上値追いの展開が継続。
また、リボミック (T:4591)が上昇率トップだった。
ジャスダック主力では、ウエストHD (T:1407)が同2.2%安と軟調。
売買代金上位ではシンバイオ製薬 (T:4582)やフェローテックHD (T:6890)が大きく売られた。
また、トレードワークス (T:3997)などが週間のジャスダック下落率上位に顔を出した。
一方、アンビスHD (T:7071)は同4.7%高と堅調。
田中化学研究所 (T:4080)やジェイテック (T:2479)も買われ、デ・ウエスタン・セラピテクス研究所 (T:4576)が上昇率トップだった。
IPOでは、ラストワンマイル (T:9252)とスローガンが公開価格の1.5倍近辺で初値を付け、サイエンスアーツは約2.7倍まで伸長した。
来週の新興市場では、やや不安定な相場展開となることも想定しておきたい。
個人投資家の根強い買い意欲がマザーズの下支えとなっているが、今週末の米国株も新型コロナ変異株への懸念から大きく下落。
既にここ数週にわたり信用評価損益は悪化傾向にあり、一段の株価下落となれば個人投資家の資金余力にも影響が出てくる可能性がある。
仮に変異株への懸念が一過性だったとしても、米利上げ加速の思惑もあり、グロース(成長株)色の強い新興株にとって逆風であることには変わりない。
相場急変の可能性も想定し、短期的な取引に徹するか、長期的な視点で買いのタイミングを探るか、それぞれの投資目的に沿って柔軟に対応したい。
積極的に手掛けられそうな銘柄も多くはないが、市場変更による買い需要や成長期待の高さが支えとなりそうなJMDC、導出契約をきっかけに市場評価が上がっているそーせいなどに注目したい。
IPO関連では、11月30日にボードルア (TWO:4413)がマザーズへ、12月2日にのむら産業がジャスダックへそれぞれ新規上場する。
また、ネットプロテクションズHDなど12月中旬のIPOのブックビルディングがスタート。
なお、今週はセキュア(12月27日、マザーズ)など2社の新規上場が発表されている。
12月のIPO件数は33社まで膨らみ、一部報道によると単月では1991年11月以来の高水準となった。
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