国内株式市場見通し:金利動向など米国市場睨みの展開

Fisco

発行済 2022年01月08日 14:51

■年末「掉尾の一振」不振、年明け急伸・急落

2021年最終週の日経平均は週間で9.12円高(+0.03%)と小幅ながら4週続伸。
新型コロナウイルス変異株「オミクロン型」の世界的な感染拡大が警戒される一方、オミクロン株の入院リスクは他の変異株に比べて低いとの研究結果や治療薬普及への期待もあり、楽観と悲観が拮抗する状態となった。
年末年始の休暇入りに伴い、取引参加者も少なく、結局、大納会まで商いは盛り上がらず、「掉尾の一振」は不振に終わった。


22年第1週の日経平均は週間で313.15円安(-1.09%)と5週ぶりに反落し、3週ぶりの陰線形成。
大発会4日の日経平均は510.08円高と好スタートを切り、29000円を回復。
オミクロン株感染の収束後の景気回復期待が相場を押し上げた。
円安・ドル高など良好な外部環境を追い風に、新年度相場入りした海外投資家のニューマネーも流入したようで、東証1部の大型主力株を中心に買いが入った。
5日も、円安基調を追い風に輸送用機器などの主力株の一角には引き続き買いが入り、日経平均は30.37円高と小幅続伸。


しかし、6日から相場の様相が一変。
注目の昨年12月開催分の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録で従来想定されていたより早いペースで利上げ・バランスシート縮小を実施する可能性が示唆され、売りが広がった。
米ハイテク株の急落を引き継いでリスク回避の動きが先行するなか、日経平均はあっさりと29000円割れ。
下値模索の展開が続き、結局、844.29円安と年明けの上昇分を吐き出す以上に下げた。


週末7日も冴えない展開で、日経平均は9.31円安と小幅続落。
6日の米株市場でハイテクの下落が軽微にとどまり、フィラデルフィア半導体株指数(SOX)は反発したこともあり、半導体関連を中心に朝方は買いが先行、日経平均は一時325.22円高に。
ただ、米雇用統計を控えるなか買いが続かず、前場中頃にマイナスに転じるとその後も軟調な展開となった。


■全体こう着感、決算受けた個別株物色が主体

来週の日経平均はもみ合いか。
物価指標の発表なども控えるなか、金利動向を中心に米国市場の動きに神経質な展開が想定される。
全体の方向感を見出しにくいなか企業の決算発表が週を通して多く、個別株物色が中心となりそうだ。


FOMC議事録を受けて米連邦準備制度理事会(FRB)のタカ派姿勢が改めて警戒されたことで、ハイテク・グロース(成長)株を中心に相場は急落する展開となった。
また、7日に発表された12月の米雇用統計では失業率が4%を下回ったほか、賃金の伸びが市場予想を上回り、3月FOMCでのFRBによる利上げ確度が一段と高まった。
7日には米10年国債利回りは昨年高値を上回ってきた。
この先も金利動向に神経質なハイテクやグロース株には厳しい展開が続きそうだ。


こうしたなか、来週は米国で12月の消費者物価指数(CPI)や生産者物価指数(PPI)が発表される。
また、少し先にはなるが、今月25、26日には今年最初のFOMCも控えており、重要イベントが目白押しだ。
イベント前に積極的な売買は手掛けづらく、全体的にこう着感の強い動きが続きそうだ。


一方、金利が大きく上昇する間、期待インフレ率の指標とされる米10年物ブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)は概して低下傾向にあり、市場は、インフレファイターとしての姿勢を明確化したFRBの動きなどを勘案し、インフレは次第に沈静化していくと捉えている様子。
名目金利が上昇する一方で期待インフレ率が低下したことで実質金利が上昇し、これが株式相場の重しとなっている。
今後もこの実質金利の動向がカギを握るだろう。
その上で一段の金利上昇には警戒が必要だが、今後は金利上昇が一服する可能性もある。
海外では新年度相場入りしたことでポートフォリオの見直しを行っている投資家が多くなったとみられ、こうした動きが年明けからの大幅な金利上昇に寄与したと考えられる。
そのため、資産配分の見直しが一巡すれば、金利上昇は一服するかペースは緩やかなものとなろう。
また、年金などを中心に利回りの絶対水準に着目して債券を買う投資家もおり、こうした存在も金利上昇の一服に寄与することが考えられる。


■決算続々、安川電機やローツェ、ファーストリテに注目

来週から国内では小売企業を中心に21年9-11月期決算が多く発表される。
注目度が高いところとしては、製造業決算の前哨戦として位置付けられる安川電機 (T:6506)が週初11日に決算発表を予定しているほか、12日には半導体関連のローツェ (T:6323)が発表予定。
内容次第では製造業系の見直しにつながろう。
小売では指数寄与度の高いファーストリテイリング (T:9983)が13日に控えており、一段と下げるようだと日経平均の重しとなり、投資家心理が悪化しそうだ。
そのほか、足元下落が厳しいグロース関連では、13日にSansan (T:4443)、週末14日にはなるが、SHIFT (T:3697)やマネーフォワード (T:3994)などが予定されている。
金融政策関連のイベント前であることを考慮すると、好決算でも上値追いは期待しにくいだろう。


■景気ウォッチャー、米CPI、工作機械受注など

来週は11日に11月景気動向指数、12日に12月景気ウォッチャー調査、中国12月CPI、中国12月PPI、米12月CPI、13日に12月都心オフィス空室率、12月工作機械受注、米12月PPI、14日に12月企業物価指数、米12月小売売上高、米12月鉱工業生産などが発表予定。



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