来週の相場で注目すべき3つのポイント:日銀金融政策決定会合、中国12月鉱工業生産、米金融大手の決算など

Fisco

発行済 2022年01月15日 18:47

更新済 2022年01月15日 19:00

■株式相場見通し

予想レンジ:上限28800-下限28000円


来週の日経平均はもみ合いか。
来週25日からの米連邦公開市場委員会(FOMC)を前に動きづらいなか、引き続き金利動向に注意は必要も、年明け以降の金融引き締めを巡る過度な動きは一服してくると予想。
日経平均は今週末に一時28000円割れを見たこともあり、目先は下値を固める展開を想定する。



昨年12月開催分のFOMC議事録が公表されてからグロース(成長)株売りが続いている。
しかし、公聴会でのパウエル議長の証言は一段と金融引き締め懸念を強めるものではなかった。
市場が警戒するバランスシートの縮小(QT)は年後半からとしたほか、QTの決定には2~4回のFOMCでの議論が必要と慎重な言及もあった。



米国の12月物価指標もおおむね市場予想と一致し、米10年国債利回りは10日に1.8%台を付けた後は目先のピークアウト感もある。
その後、米連邦準備制度理事会(FRB)高官らの相次ぐタカ派発言を受けて、10日に1.70%へ低下した後に今週末には再び1.8%を窺う動きとなっているが、この日のハイテク・グロース株には押し目買いが入り、ナスダック総合指数が反発、フィラデルフィア半導体株指数(SOX)は大幅反発した。



こうした動きから、金融引き締めに対する織り込みは相当程度進んできたことが窺える。
3月FOMCが近づく頃には再び金利が上値を試す展開も想定されるが、日米ともに決算シーズンに入ることもあり、金利を巡る過度な動きは目先一服してくると予想する。



一方、FOMCに隠れてほとんど話題にならない日銀金融政策決定会合が17日から開催されるが、今回は注目したい。
今週末、東京市場では株式全般が大きく売り込まれたが、その背景には、FRBのタカ派を嫌気した前の日の米ハイテク株安だけでなく、日銀がインフレ目標2%を達成する前に利上げ開始できるか議論しているなどと報じられたことも影響したとみられる。
海外に比べてインフレには程遠い日本でも利上げ議論となると、ネガティブサプライズであり、これが売りに拍車をかけた面もあろう。
このため今回の金融政策決定会合には注目だ。



個別では引き続き半導体に注目。
台湾積体電路製造(TSMC)が13日に発表した決算は市場予想を上回ったほか、2022年の設備投資計画が昨年を大幅に上回る規模となった。
半導体の需給逼迫は今年いっぱい続くとの声も多く、こうした半導体の強気の見通しをサポートする内容といえよう。
年明け以降、多くのハイテク・グロース株が急落したなかでも、東京エレクトロン (T:8035)やSCREENHD (T:7735)などの関連株は上昇トレンドを継続しており、かなりの底堅さを見せている。
目先のグロース株売り一巡の流れのなかで、半導体関連は引き続き押し目を狙いたい。



また、強い実需を背景にトヨタ自動車 (T:7203)やデンソー (T:6902)などの電気自動車(EV)関連の強さも際立つ。
金利上昇一服による円高・ドル安への揺り戻しも起きているが、こちらも押し目は強気で臨みたいところ。
逆に景気敏感・バリュー(割安)株への資金流入は目先一服するとみられ、上値追いには慎重になりたい。



■為替市場見通し


来週のドル・円は伸び悩みか。
今月25-26日開催のFOMCの会合結果を確認したい思惑から、リスク選好的なドル買いがただちに拡大する可能性は低いとみられる。
高インフレを背景にFRBによる金融正常化への期待感が続き、長期金利は反発していることから、ドル売りは抑制される可能性がある。
ただ、FRBによる早急な金融引き締めの思惑は世界的な株安につながるとみられ、リスク選好的な円売りがすみやかに拡大する可能性は低いとみられる。
主要国の株安を嫌って新興諸国や資源国通貨に対する円買いが増える可能性があることも、ドル・円の相場動向に影響を与えそうだ。



なお、ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁は域内の物価上昇に懸念を示し、ユーロ圏の金利先高観はやや強まる可能性が残されている。
この影響でユーロ買い・米ドル売りが増えた場合、ドル・円の取引でもドル売りが優勢となる可能性があるため、目先的にはユーロ・ドルの相場動向にも注意を払う必要がありそうだ。



■来週の注目スケジュール

1月17日(月):コア機械受注(11月)、日銀政策委員会・金融政策決定会合(~18日) 、衆院本会議で岸田首相の施政方針演説、中・鉱工業生産指数(12月)、中・小売売上高(12月)、米・株式市場は祝日のため休場(キング牧師生誕記念日)、世界経済フォーラム(WEF)主催「ダボス・アジェンダ」(21日まで)など
1月18日(火):鉱工業生産(11月)、黒田日銀総裁が会見、米・ニューヨーク連銀製造業景気指数(1月)、米・NAHB住宅市場指数(1月)、決算発表→ゴールドマンなど
1月19日(水):自動車の先端技術展「オートモーティブワールド」開幕(21日まで)、英・消費者物価コア指数(12月)、米・住宅着工件数(12月)、決算発表→P&G、BofA、モルガンS、アルコアなど
1月20日(木):貿易収支(12月)、トルコ・中央銀行が政策金利発表、米・フィラデルフィア連銀製造業景況指数(1月)、米・中古住宅販売件数(12月)、決算発表→ネットフリックスなど
1月21日(金):消費者物価コア指数(12月)、日銀政策委員会・金融政策決定会合議事要旨(12月16・17日分)、米・景気先行指数(12月)など


アプリを入手する
Investing.comで、世界の金融市場の最新動向をチェックしましょう!
今すぐダウンロード

金融商品や仮想通貨の取引は投資金額を失う高いリスクがあります。仮想通貨の価格は非常にボラティリティーが高く、金融、規制、政治など、外的な要因に影響を受けることがあります。また信用取引はリスクが高いことを十分に理解してください。
金融商品または仮想通貨の取引をする前に、金融市場での取引に関わるリスクやコストについて十分に理解し、専門家の助言を求めたり、ご自身の投資目的や経験値、リスク選好等を注意深く検討することを推奨いたします。
Fusion Media によるこのウェブサイトのデータが、必ずしもリアルタイムおよび正確ではないということをご了承ください。またデータや価格が、必ずしも市場や取引所からではなく、マーケットメーカーにより提供されている場合があります。その為、価格は気配値であり、実際の市場価格とは異なる可能性があります。Fusion Media および当ウェブサイトへのデータの提供者は、当ウェブサイトに含まれる情報を利用したすべての損失に対して一切の責任を負わないものとします。
Fusion Media およびデータ提供者による事前の書面の許可なしに、当ウェブサイト上のデータを使用、保存、複製、表示、変更、送信、配信することを禁じます。すべての知的財産権は当ウェブサイト上のデータの提供者、または取引所が有します。
Fusion Media は当ウェブサイトに表示される広告により報酬を得ることがあります。 上記内容は英語版を翻訳したものであり、英語版と日本語版の間に不一致がある場合は英語版が優先されます。

ログアウト
本当にログアウトしますか?
いいえあり
キャンセルあり
変更を保存