■世界的な利上げ加速でリスクオフ
今週の新興市場は世界的な金融引き締めを警戒したリスク回避の動きが強まり、大幅に下落した。
米5月消費者物価指数(CPI)が予想を上回り、40年ぶりの高い伸びとなったことでインフレピークアウト期待が消失。
連邦公開市場委員会(FOMC)では米連邦準備制度理事会(FRB)が予想通り27年ぶりとなる0.75ptの利上げを決定したほか、スイス国立銀行(中央銀行)が予想外に2007年以来の利上げに踏み切り、英イングランド銀行(同)も5会合連続での利上げを実施、世界的な金融引き締めの加速が警戒された。
なお、週間の騰落率は、日経平均が-6.69%であったのに対して、マザーズ指数は-9.61%、東証グロース市場指数は-9.42%だった。
個別では、ウェルスナビ (TYO:7342)が-16.5%、そーせいグループ (TYO:4565)が-15.9%、Appier Group (TYO:4180)が-14.0%と主力株の一角が急落。
ほか、フリー (TYO:4478)が-6.3%、弁護士ドットコム (TYO:6027)は-.9.0%と大きく下落。
一方、JTOWER (TYO:4485)が-2.0%と底堅く推移し、ビジョナル (TYO:4194)も第3四半期好決算や業績予想の上方修正による週半ばの上昇が寄与し、-3.7%と軽微な下落率にとどまった。
また、セルソース (TYO:4880)は堅調な上半期決算とペット保険のアニコムとの業務提携開始が好感され、+7.7%と大幅に上昇。
今週東証グロース市場に新規に上場したANYCOLOR (TYO:5032)は週末こそストップ安となったものの、週後半まで急伸劇が続き、+12.4%となった。
東証グロース市場値上げ率トップはリンクバル (TYO:6046)。
内閣府の男女共同参画白書で20代の男女の多くが「配偶者や恋人がいない」と答えたことが報じられ、恋活・婚活マッチングアプリ「CoupLink」を運営する同社に思惑が向かった。
■パウエル議長の議会証言前に神経質な展開
来週の新興市場は上値の重い展開が予想される。
記録的なインフレを抑制するために世界各国の中央銀行が引き締めを急いでいる。
物価指標の上振れなどでインフのレピークアウトが見通せないなか、利上げペースの更なる加速も十分に考えられる。
将来の長い期間にわたる収益に基づいて株価バリュエーションが決まる新興株にとっては、金利上昇が重荷となる。
米10年債利回りは14日に付けた3.48%をピークにその後は低下しているが、まだ予断を許さない。
22~23日にはパウエルFRB議長の半年に一度の議会証言も予定されている。
金利先高観がくすぶるなか、新興株は安値圏にあっても本格的なリバウンドを期待しづらいだろう。
個別では、今週末にマザーズ指数が年初来安値を更新したなか、安値を更新せずにチャート形状も大きく崩れていない銘柄に相対的な妙味があると考えられ、UUUM (TYO:3990)、アドベンチャー (TYO:6030)、エッジテクノロジー (TYO:4268)、TKP (TYO:3479)、アライドアーキテクツ (TYO:6081)、アクリート (TYO:4395)、アドバンスト・メディア (TYO:3773)、フリークアウトHD (TYO:6094)、トレンダーズ (TYO:6069)、BuySell Technologies (TYO:7685)などに注目したい。
今週はインターネット広告やSEOコンサルティングのサービスを提供するAViCがブックビルディング(BB)期間入りとなった(~20日)。
また、来週は東証スタンダード市場にヤマイチ・ユニハイムエステート (TYO:2984)、ホームポジション (HK:2999)が、東証グロース市場にはジャパンワランティサポート、坪田ラボ、マイクロ波化学 (TYO:9227)が新規に上場する予定だ。
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