後場に注目すべき3つのポイント~米CPIに過度な期待は避けよう

Fisco

発行済 2023年01月12日 12:27

12日の後場の取引では以下の3つのポイントに注目したい。


・日経平均は小幅に5日続伸、米CPIに過度な期待は避けよう
・ドル・円は軟調、米金利にらみ
・値上がり寄与トップは東エレク (TYO:8035)、同2位はソフトバンクG (TYO:9984)

■日経平均は小幅に5日続伸、米CPIに過度な期待は避けよう

日経平均は小幅に5日続伸。
9.06円高の26455.06円(出来高概算6億4627万株)で前場の取引を終えている。


11日の米株式市場でダウ平均は268.91ドル高(+0.79%)と続伸。
米12月消費者物価指数(CPI)でインフレピークアウトが確認されるとの期待から買いが先行。
ソフトランディング期待を受けた買いも手伝い、終日堅調に推移した。
また、米ボストン連銀・コリンズ総裁が次回の米連邦公開市場委員会(FOMC)での一段の利上げペース減速支持に傾斜しているとの報道で長期金利が低下したことも追い風となった。
ナスダック総合指数は+1.75%と4日続伸。
日経平均は78.94円高からスタートも、寄り付き直後から失速し、マイナス圏で推移する時間もあった。
今晩の米12月CPIを見極めたいとの思惑のほか、日本銀行が次回会合で大規模金融緩和の副作用を点検すると伝わり、為替の円高が進んだことも上値を抑えた。
結局、失速後は前日終値を挟んだもみ合いが続いた。


個別では、日銀の政策動向に関する報道を材料にみずほ (TYO:8411)、三菱UFJ (TYO:8306)、三井住友 (TYO:8316)の銀行や、第一生命HD (TYO:8750)、T&DHD (TYO:8795)の保険などが大きく上昇。
米ハイテク株高を追い風にレーザーテック (TYO:6920)、東エレク (TYO:8035)、ルネサス (TYO:6723)の半導体関連のほか、日本電産 (TYO:6594)、村田製 (TYO:6981)、ファナック (TYO:6954)、TDK (TYO:6762)などのハイテクが高い。
レーザーテックは国内証券のレーティング格上げも観測された。


中国経済再開への期待から銅価格の上昇が続いており、住友鉱 (TYO:5713)、三井金属 (TYO:5706)、三菱マテリアル (TYO:5711)の非鉄金属のほか、日本製鉄 (TYO:5401)、JFE (TYO:5411)の鉄鋼、INPEX (TYO:1605)、住友商事 (TYO:8053)、コマツ (TYO:6301)など資源関連が総じて堅調。
タマホーム (TYO:1419)、ライフコーポ (TYO:8194)、サイゼリヤ (TYO:7581)は決算が好感されて大幅高。
エスプール (TYO:2471)は障がい者雇用支援サービスに関する否定的な報道に対して反論を公表し、急反発している。


一方、ファーストリテ (TYO:9983)、任天堂 (TYO:7974)、ダイキン (TYO:6367)など値がさ株の一角のほか、郵船 (TYO:9101)、商船三井 (TYO:9104)、川崎汽船 (TYO:9107)の海運が軟調。
エーザイ (TYO:4523)、JT (TYO:2914)、KDDI (TYO:9433)などのディフェンシブ系のほか、OLC (TYO:4661)、資生堂 (TYO:4911)、JR東海 (TYO:9022)、JR西 (TYO:9021)、JAL (TYO:9201)、マツキヨココ (TYO:3088)などのリオープン・インバウンド関連の下落も目立つ。


セクターでは、銀行、非鉄金属、鉄鋼が上昇率上位となった一方、その他製品、陸運、空運が下落率上位となった。
東証プライム市場の値上がり銘柄は全体の41%、対して値下がり銘柄は53%となっている。


本日の東京市場では主要株価指数がまちまちの展開。
前日の米国市場では、米ボストン連銀のコリンズ総裁が次回のFOMCで利上げ幅を0.25ポイントへと縮小する可能性について言及し、金利低下・ハイテク株高につながり、ナスダック総合指数は大幅に4日続伸となった。


一方、東京市場では、日銀が次回会合で大規模金融緩和の副作用を点検すると伝わり、為替の円高が進んでいることで上値が抑えられているもよう。
ただ、ナスダック総合指数の4日続伸からも窺えるように、今晩の米12月CPIでインフレピークアウトが再強調されるとの期待感が事前にかなり高まっており、仮に予想通り、インフレ鈍化が確認されても、大幅に予想を下回らない限り、市場のポジティブな反応が一段と強まるかはやや不透明。


また、明晩は米1月ミシガン大学消費者信頼感指数のほか、JPモルガン・チェース、バンク・オブ・アメリカ、ウェルズ・ファーゴ、シティ・グループの金融大手の決算が控える。
米12月ISM非製造業(サービス業)景気指数の予想外の50割れへの急低下によって景気後退懸念が強まっている最中でもあるため、消費者マインドの落ち込み具合や、金融大手の経営陣による景気の見通しに対する発言は注目度が高い。


金融決算を皮切りに今後本格化する決算発表も踏まえれば、米CPI後に上値追いが長期化するとまでは考えにくい。
国内製造業決算の先行指標とされる安川電機 (TYO:6506)の決算後の株価反応はひとまず上昇だったが、ACサーボモーターの受注調整は想定以上で、全体の印象はややネガティブと捉える調査機関が多い。
足元のハイテク株高も米CPIや決算前の買い戻しに過ぎないと考えれば、一段の上値追いには慎重になりたいところ。
こうした中、1月、2月は3月末の配当権利取りの動きが表面化しやすい季節でもあることから、銀行や保険、商社といった高配当利回り銘柄に着目すべきと考える。


■ドル・円は軟調、米金利にらみ

12日午前の東京市場でドル・円は軟調地合いとなり、132円52銭から131円55銭まで値を切り下げた。
米10年債利回りの低下でドル売りが先行し、1円程度下落。
その後は米金利の持ち直しを受け、ドルは小幅に戻す場面もあり、方向感が乏しい値動きに。


ここまでの取引レンジは、ドル・円は131円55銭から132円52銭、ユーロ・円は141円61銭から142円55銭、ユーロ・ドルは1.0752ドルから1.0775ドル。


■後場のチェック銘柄

・BTM (TYO:5247)の、1銘柄がストップ高

※一時ストップ高(気配値)を含みます

・値上がり寄与トップは東エレク (TYO:8035)、同2位はソフトバンクG (TYO:9984)

■経済指標・要人発言

【経済指標】

・日・11月経常収支:+1兆8036億円(予想:+4810億円、10月:-641億円)
・豪・11月貿易収支:+132.01億豪ドル(予想:+113.00億豪ドル、10月:+122.17億豪ドル)
・中・12月生産者物価指数:前年比-0.7%(予想:-0.1%、11月:-1.3%)
・中・12月消費者物価指数:前年比+1.8%(予想:+1.8%、11月:+1.6%)

【要人発言】

・欧州中央銀行(ECB)専務理事兼首席エコノミストのフィリップ・レーン氏
「金利は依然、著しく上昇する必要がある」
「金利が金融引き締め水準に達する必要がある」


特になし

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