後場に注目すべき3つのポイント~米金利の上昇一服に対する安心はまだ早いか

Fisco

発行済 2023年02月28日 12:25

*12:25JST 後場に注目すべき3つのポイント~米金利の上昇一服に対する安心はまだ早いか 28日の後場の取引では以下の3つのポイントに注目したい。


・日経平均は反発、米金利の上昇一服に対する安心はまだ早いか
・ドル・円はもみ合い、月末の売り買いが交錯
・値上がり寄与トップはファーストリテ (TYO:9983)、同2位はソフトバンクG (TYO:9984)

■日経平均は反発、米金利の上昇一服に対する安心はまだ早いか

日経平均は反発。
117.44円高の27541.40円(出来高概算5億2082万株)で前場の取引を終えている。


27日の米株式市場でダウ平均は72.17ドル高(+0.21%)と反発。
製造業関連の指標が冴えず、金利が低下したことで買いが先行。
その後、株価の割高感が意識されるなか戻り待ちの売りに押され、ダウ平均は一時下落に転じる場面もあったが、ハイテク株の上昇が支えた。
ナスダック総合指数は+0.63%と反発。
金利上昇と米株安の一服が安心感を誘う中、日経平均は91.38円高からスタート。
為替の円安傾向や時間外取引のナスダック100先物の上昇も支援要因に朝方は買いが先行し、一時27585.17円(161.21円高)まで上伸。
ただ、27500円を超えたところでは戻り待ちの売りが根強く、その後はもみ合いが続いた。


個別では、米ナスダック高を追い風にルネサス (TYO:6723)、アドバンテスト (TYO:6857)、ディスコ (TYO:6146)の半導体関連を中心にハイテク株が上昇しており、ソシオネクスト (TYO:6526)は上場来高値を更新。
為替の円安基調を支援要因にマツダ (TYO:7261)、ホンダ (TYO:7267)なども堅調。
郵船 (TYO:9101)、商船三井 (TYO:9104)、神戸製鋼所 (TYO:5406)、東京建物 (TYO:8804)、三井不動産 (TYO:8801)、住友不動産 (TYO:8830)などのバリュー(割安)・高配当利回り株の一角も高い。
ゆうちょ銀行 (TYO:7182)は日本郵政 (TYO:6178)による株式売出が発表されたが、事前報道で織り込み済みの中、自社株買いが好感されて大幅に上昇。
業績上方修正と大幅増配を発表した冨士ダイス (TYO:6167)や業績予想を上方修正したセントラル硝子 (TYO:4044)は急伸。


セクターでは海運、不動産、サービスが上昇率上位となった一方、証券・商品先物取引、保険、電気・ガスが下落率上位となった。
東証プライム市場の値上がり銘柄は全体53%、対して値下がり銘柄は42%となっている。


前日の米国市場は金利の低下を支えに一先ず反発となった。
航空機を除く非国防資本財(コア資本財)の受注が前月比+0.8%と5カ月ぶりの大幅増となり、市場予想(+0.0%)を大きく上回った。
一方、全体の耐久財受注は前月比-4.5%と予想(-4.0%)以上に減速したことで、これが金利の低下につながったとの市況解説もある。


しかし、航空機を含めた全体の耐久財受注は振れが大きいため、本来であればコア資本財受注の上振れを材料視して金利が上昇していてもおかしくなかったと思われる。
金利低下の背景としては、月末にかけてファンドがリバランス(投資配分の再調整)目的に債券を買っていることなどがありそうだ。
この仮説が正しいのであれば、明日から3月に入ることで需給面での下支えはなくなり、再び金利が上昇する可能性が考えられる。


米10年債利回りも低下したとはいえ、27日は3.92%(前営業日比-0.03pt)と低下幅は小さい。
ナスダック総合指数は辛うじて200日移動平均線を維持する踏ん張りを見せているが、今後、金利上昇が再開してドル高が進めば、企業収益圧迫への警戒感から200日線を割り込む可能性は十分にあるだろう。


今晩は米国市場で小売企業のターゲットの決算が予定されている。
米国では今週ターゲットの他にもロウズやダラー・ツリー、ベスト・バイ、メーシーズなどの小売決算が予定されている。
先週は米10-12月の実質国内総生産(GDP)改定値が下方修正され、特に米GDPの約7割を占める個人消費が大きく下方修正された。
また、ウォルマート、ホーム・デポ、ディラーズ、TJX、ダラー・ゼネラルなど米小売企業の決算も総じて冴えなかった。
インフレが収まっていない反面、インフレの原因ともされている個人消費にはやや陰りが見られてきているようだ。


企業の景況感が悪化する一方で米経済のソフトランディング(軟着陸)期待を支えていたのは底堅い個人消費だった。
しかし、その個人消費も鈍化傾向にあるとすれば、米経済の支え役が不在となる。
スタグフレーション(インフレと景気後退の併存)懸念が再び高まっているなか、今晩のターゲットを皮切りとして始まる米小売企業決算に注目したい。


■ドル・円はもみ合い、月末の売り買いが交錯

28日午前の東京市場でドル・円はもみ合いとなり、136円前半で推移した。
月末の売り買いが交錯し、方向感は乏しい。
一方、次期日銀副総裁候補の内田理事が国会で、政策点検について主要中銀事例が参考になるなどと述べたが、相場への反応は限定的だった。


ここまでの取引レンジは、ドル・円は136円11銭から136円35銭、ユーロ・円は144円20銭から144円72銭、ユーロ・ドルは1.0589ドルから1.0615ドル。


■後場のチェック銘柄

・クシム (TYO:2345)、冨士ダイス (TYO:6167)など、5銘柄がストップ高

※一時ストップ高(気配値)を含みます

・値上がり寄与トップはファーストリテ (TYO:9983)、同2位はソフトバンクG (TYO:9984)

■経済指標・要人発言

【経済指標】

・日・1月鉱工業生産:前月比-4.6%(予想:-2.9%、12月:+0.3%)
・豪・10-12月期経常収支:+141億豪ドル(予想:+55億豪ドル、7-9月期:-23億豪ドル)
・豪・1月小売売上高:前月比+1.9%(予想:+1.5%、12月:-3.9%)

【要人発言】

・内田真一日銀理事
「仮に政策点検の場合、1-1年半かけて行ったFRBやECBの事例が参考になる」
「実務的に実現可能な政策オプションに努めたい」


特になし

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