情報BOX:五輪選手が亡命のベラルーシ、四半世紀続く強権体制

Reuters

発行済 2021年08月03日 11:51

[東京 3日 ロイター] - 意思に反して帰国指示を受け、羽田空港へ連れて行かれたベラルーシの五輪代表、クリスツィナ・ツィマノウスカヤ選手(24)は、隣国のポーランドが2日に亡命申請を受け入れ、4日の直行便で滞在する東京からポーランドへ向かう予定だ。

ベラルーシはルカシェンコ大統領が1994年から同国を厳しく支配。昨年夏の選挙で勝利後、不正があったとする市民が大規模な抗議デモを行ったが、これを暴力で弾圧した。選手が政府からの支援に依存する国としては珍しく、ベラルーシではアスリートも抗議に参加、複数が投獄されたり、代表チームから外されている。

<政治体制>

共和制で元首は大統領。ルカシェンコ大統領が1994年に初当選し、6期25年以上にわたって現職にいる。2010年に4選を果たした後には、野党の抗議デモが発生。治安部隊が制圧して西側諸国から問題視された。

<西側からの制裁>

欧州連合(EU)は04年、初めてベラルーシに制裁を発動。11年には人権侵害や選挙不正を巡り制裁措置を強化した。その後、ルカシェンコ大統領が16年に政治犯を釈放したことで、多くの措置を解除した。

<20年夏の大統領選>

20年8月9日に投票が行われたベラルーシ大統領選挙は、現職のルカシェンコ氏が80%を得票して6選を決めた。反政権側は投票に不正があったとして、選挙結果の受け入れを拒否。首都ミンスクなどで前日に続き抗議活動が広がり、警官隊と衝突した。

長く政権の座にあるルカシェンコ氏に対し、市民からは経済政策や人権問題、新型コロナウイルスへの対応を巡って批判の声が上がっていた。その後も抗議活動は続き、多数拘束されている。

海外の選挙監視団は1995年以来、ベラルーシの選挙が自由で公正であるとは認めておらず、今回も選挙前にルカシェンコ氏の対抗馬が拘束されたり、大統領に反対の声を上げた人物への捜査が行われるなどした。

<民間航空機を強制着陸>