NATO、ロを「直接の脅威」と明記 新戦略概念で中国にも初言及

Reuters

発行済 2022年06月30日 05:54

更新済 2022年06月30日 16:45

[マドリード/キーウ 29日 ロイター] - 北大西洋条約機構(NATO)は29日、マドリードで開催した首脳会議で、今後10年間の防衛・安全保障の指針となる新たな「戦略概念」を採択し、ウクライナ侵攻を続けるロシアを「直接の脅威」と位置づけた。さらに今回初めて中国について言及し、中国が「深刻な挑戦」を突き付けていると指摘した。

また首脳会議では「スウェーデンとフィンランドをNATO加盟国にするために招待する」と決定。さらに、ウクライナ軍の近代化を支援する計画で合意したほか、ストルテンベルグNATO事務総長によると、将来のロシアの攻撃に備え、欧州東部では安全保障上の危機が発生した際に出動する即応部隊を2023年から現在の7倍増となる30万人に増員する方針でも合意した。

バイデン米大統領も29日、ロシアの脅威に対抗するため、ポーランドに常設の陸軍司令部を新設し、陸海空の部隊を欧州全域に追加配備すると発表。米国の新たな軍艦がスペインに、戦闘機部隊が英国に、地上部隊がルーマニアに、防空部隊がドイツとイタリアに配備されるとも表明した。

NATOのストルテンベルグ事務総長は記者会見で「ウクライナに対するプーチン大統領の戦争は欧州の平和を打ち砕き、第二次世界大戦以降、欧州における最大の安全保障危機を引き起こした」と語った。

ウクライナのクレバ外相は、NATOが示したロシアに対する「明確な姿勢」を歓迎。同国のゼレンスキー大統領はNATO首脳らに対し、ロシアに対抗するために武器や財政支援が必要とし、ロシア政府の野心はウクライナだけにとどまらないと改めて警鐘を鳴らした。