日銀、サービス消費回復で4地域の判断引き上げ 賃上げには不透明感

Reuters

発行済 2023年01月12日 14:48

更新済 2023年01月12日 19:36

[東京 12日 ロイター] - 日銀は12日に公表した地域経済報告(さくらリポート)で、全9地域中、北陸・関東甲信越・近畿・九州沖縄の4地域について判断を引き上げた。政府の「全国旅行支援」などでサービス消費が回復したことが要因。賃上げを巡っては、機運は盛り上がっているものの、コスト高の価格転嫁が完全にはできていない中でどの程度広がるかまだ見通せていないとの支店長の声が聞かれた。

供給制約の影響が緩和し、新型コロナウイルスの感染抑制と経済活動の両立が進むもとで、多くの地域が「持ち直している」、「緩やかに持ち直している」と判断した。残る5地域の判断は据え置いた。

需要項目別に見ると、個人消費は東北・北陸・関東甲信越・東海・近畿・九州沖縄の6地域で判断を引き上げ。同日の支店長会議では、全国旅行支援の後押しもあり国内旅行需要が増加しているほか、外出機会が増えて衣料品などの販売も増加基調にあるとの報告が多かった。円安の影響もあって、インバウンド需要が持ち直しているとの指摘も多かったという。

値上げが広範に及び、消費者の節約志向の強まりを示す事例の報告もみられたが、全体としては、値上げ後も売り上げは堅調または底堅いとの報告が多かった。

生産は九州沖縄の1地域が判断を引き上げた。供給制約の影響が和らぎ、基調として増加している。ただ、スマートフォン・PC向けの半導体などについては、海外需要の減少で生産調整が続いているとの指摘があった。

輸出産業のウエートが大きい東海地方は「足踏み状態となっている」との判断を据え置いた。中島健至・名古屋支店長は会見で、半導体を中心に部品や部材の調達が依然として不安定で計画通りの生産ができていないが、安定調達に向けた企業の取り組みも継続しており「今年いずれかのタイミングで生産活動が軌道に復する局面が訪れる」との見通しを示した。自動車の需要は引き続き強いとしている。

<高まる賃上げ機運、広範な波及は「まだ確信得られず」>