以下は、フィスコソーシャルレポーターの個人投資家元・社長氏(ブログ「元投資顧問会社社長のチラシの裏」)が執筆したコメントです。
フィスコでは、情報を積極的に発信する個人の方と連携し、より多様な情報を投資家の皆様に向けて発信することに努めております。
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※2017年1月26日9時に執筆
東京から名古屋、そして大阪を結ぶリニア中央新幹線。
私も何度か車で大阪まで行ったことがあるのですが、休憩なしでも6時間以上は運転しっぱなしでした。
リニア中央新幹線は通常の新幹線の約2倍、時速500kmもの速度を出す事が可能。
東京~大阪間を1時間ほどで行けるようになってしまうのですから驚きですよね。
株式相場では過去数年の間に何度かリニア関連銘柄が盛り上がった事がありますが、今回は改めてリニア関連銘柄を深堀特集したいと思います。
■リニア中央新幹線がもたらす経済効果
リニア中央新幹線の開業は、企業の生産活動や国民の消費活動に影響を与え、大きな経済効果をもたらすと言われています。
国土交通省の交通政策審議会における分析によれば、リニア中央新幹線利用者の所要時間短縮などの利便性向上等を貨幣換算した「便益」は、東京~大阪間の開業時点において、1年あたり7,100億円と推計されています。
また、移動時間の短縮で出張等が効率化し生産コストが低下する事により、国民の消費や旅行関連財の消費が拡大することなどにより、全国で生産額が8,700億円増加すると推計されています。
こうした経済効果のインパクトから、安倍首相も日本のインフラ輸出の大きな武器になると評価するほどです。
米国など海外の輸出も視野に入れており、三菱UFJリサーチ&コンサルティングは東京~古屋間の開業で10.7兆円、大阪延伸で16.8兆円の経済効果があると試算しています。
ちなみに、東京~名古屋間のリニア中央新幹線の総工費は5兆5235億円。
大阪までは計9兆円にも上る、建設関連でも群を抜くビッグプロジェクトとなっています。
■「国策」としての強みがあるリニア中央新幹線
国策として強みがあると書きましたが、リニア中央新幹線はあくまでも民間主導の計画となります。
リニア中央新幹線はJR東海 (T:9022)が自社資金を投じて建設すると宣言し、国もそれを認めています。
▽なぜ国家主導の事業ではないのか?
元々、中央新幹線は国の計画に含まれていました。
中央新幹線を含む11路線がリスト入りしており、リスト入りした順番で優先的に着工を行っていくとされています。
JR東海 (T:9022)は、その順番待ちに耐えられなかったのだと考えられます。
その理由として挙げられるのが、東海道新幹線の老朽化。
東海道新幹線は突貫工事での完成からすでに50年以上経過しています。
これまでも大規模改修を実施。
改修は今後も行う予定となっていますが、鉄橋架け替えなどの抜本的な対策が必要になってきます。
加えて大地震対策も必要になる事から、長期運休を伴う補修工事をしたい。
だからこそ早くリニア中央新幹線を開業させたいと考えたのでしょう。
もう一つの理由として挙げられるのが、リニア中央新幹線の実権を握る事。
国鉄分割民営化の際、新幹線の管轄はJR東海 (T:9022)の管轄となりました。
しかし、政府に任せておけば、新設された中央新幹線がJR東海 (T:9022)の管轄になるとは限りません。
事実、北陸新幹線の管轄はJR東日本 (T:9020)とJR西日本 (T:9021)に分割されました。
だからこそJR東海 (T:9022)は自力建設を宣言し、早期着工と営業権獲得を狙ったのだと考えられます。
▽国策としての面
平成28年度補正予算で、リニア中央新幹線や整備新幹線等の整備加速費用とし、3,212億円が配分されました。
その他にも、財政投融資で今年度に約1.5兆円、来年度に約1.5兆円、合わせて約3兆円をJR東海 (T:9022)にほぼゼロ金利で貸し出す法改正案を閣議決定しました。
こうした資金援助により、政府がJR東海 (T:9022)に口出しを行う事が可能となり、リニア中央新幹線の開業を最大で8年前倒しする事をJR東海 (T:9022)に要請。
こうした事からも、リニア中央新幹線は国策として大きく位置付けられたと言えるでしょう。
■リニア中央新幹線の今後の動き
前倒し要請前とはなりますが、リニア中央新幹線は、東京~名古屋間の開業を2027年、名古屋~大阪を2045年に開業する予定となっています。
今から約30年後であることから長期間の取り組みであり、それだけに話題も枯渇。
新たな材料も出にくいのでは?と考える事もあるでしょう。
話は変わりますが、リニア中央新幹線の推進同盟である中央新幹線建設促進期成同盟会は1979年に発足。
東京都、神奈川県、山梨県、長野県、岐阜県、愛知県、三重県、奈良県及び大阪府の沿線9都府県で構成されています。
同盟会の目的は新しい時代を開くリニア中央新幹線の早期実現を目指す。
各沿線地域の利便性を向上するため、既存の交通機関との連携や駅周辺施設の整備等により駅アクセス圏の拡大を図る事です。
つまり、この同盟会は東京~大阪までを早く結ぼう、という意味合いの同盟会ではなく、あくまでも各地にリニアを波及させよう。
経済効果を地域で享受しようという同盟であり、東京~大阪までを結ぶリニア中央新幹線は、第一段階にしか過ぎません。
今後は地方都市までも結ぶという次の段階に移る事も十分考えられますし、リニア中央新幹線工事の進捗状況もまだ3割にも至っていませんので、新たな材料が出る可能性は大いにあり得ます。
実際にリニア中央新幹線のトンネルを施工する企業が発表された時には、リニア関連銘柄が大きく買われる動きとなりましたし、大阪延伸前倒しの議論が出た時も急騰。
目先では政府が最大8年前倒しをJR東海 (T:9022)に要請したことにより、どの程度前倒しが可能になるのか?
その発表時にも、リニア関連銘柄が改めて注目される事になると考えています。
■リニア関連銘柄
リニア中央新幹線の約9割がトンネルを走行することになります。
こうした事からも、リニア関連銘柄の多くは変電施設などよりも建設株が注目される傾向にあります。
▽JR東海 (T:9022)
東海道新幹線や名古屋・静岡などの在来線を展開する企業。
リニア中央新幹線はJR東海が主導で行っていることから、リニア関連銘柄の中でも大本命株に位置付けられます。
▽銭高組 (T:1811)
大阪が地盤の中堅ゼネコン企業。
山岳トンネル工事の安全対策・省エネ制御システムを開発し、実用化しています。
リニア工事の最難関とされる、山梨工区の南アルプストンネル施工に採択されたことから一気にリニア関連銘柄として注目されました。
▽大成建設 (T:1801)
大手ゼネコン企業。
市街地再開発に強みを持っています。
アジアとヨーロッパを隔てる海峡として知られるトルコのボスポラス海峡を建設した同社。
銭高組と共同で南アルプストンネル工事を施工。
▽ジオスター (T:5282)
新日鉄住金グループ。
2011年に東京エコン建鉄を吸収合併し、公共事業を中心とする土木工事に使用されるコンクリート製品のセグメントが主力の企業。
トンネル工事向けセグメントで商機が膨らむ可能性がある事から、リニア関連銘柄としては大穴株として注目しています。
▽その他のリニア関連銘柄一覧
安藤ハザマ (T:1719)
大林組 (T:1802)
飛島建 (T:1805)
鹿島 (T:1812)
鉄建 (T:1815)
西松建 (T:1820)
大豊建 (T:1822)
奥村組 (T:1833)
熊谷組 (T:1861)
植木組 (T:1867)
名工建 {{|0:}}
矢作建 (T:1870)
東亜建 (T:1885)
日基技 (T:1914)
三信建 (T:1984)
ケーエフシー (T:3420)
日シス技術 (T:4323)
神戸鋼 (T:5406)
山陽鋼 (T:5481)
日立金 (T:5486)
古河機金 (T:5715)
古河電 (T:5801)
住友電 (T:5802)
昭電線HD (T:5805)
東京綱 (T:5981)
NCHD (T:6236)
ナブテスコ (T:6268)
鉱研工業 (T:6297)
住友重 (T:6302)
住友精 (T:6355)
郷鉄工 (T:6397)
日立 (T:6501)
東芝 (T:6502)
三菱電 (T:6503)
富士電機 (T:6504)
東洋電 (T:6505)
安川電 (T:6506)
明電舎 (T:6508)
オムロン (T:6645)
森尾電 (T:6647)
信号 (T:6741)
京三 (T:6742)
KIHD (T:6747)
日立造 (T:7004)
三菱重 (T:7011)
川重 (T:7012)
日車両 (T:7102)
近畿車 (T:7122)
ブレーキ (T:7238)
KYB (T:7242)
アイシン (T:7259)
ジャムコ (T:7408)
名鉄 (T:9048)
中部電 (T:9502)
当ブログでは、個人的に注目しているテーマ関連株の深掘り、個別銘柄の考察、世界経済の今後の流れ、投資全般に役立つ情報を定期的に発信しています。
チャート画像付きでの解説などもありますので、ブログも併せてお読み頂けますとより深くご理解頂けるかもしれません。
「投資顧問会社社長 ブログ」で検索してもらえれば、当ブログ「元投資顧問会社社長のチラシの裏」が出てくると思います。
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執筆者名:元・社長
ブログ名:元投資顧問会社社長のチラシの裏
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