■アイ・アールジャパンホールディングス (T:6035)のビジネスフィールド
株主と企業を結ぶコンサルティング・パートナーとして、上場企業500社以上の会社と取引実績がある。
同社グループが対象としているビジネスフィールドは、IR市場、SR市場、M&A市場、会社法務市場である。
同社グループは、まずIR市場でビジネスを始めた。
このビジネスフィールドでは、制度的ディスクロージャーとしての金融商品取引法関連業務や、自発的ディスクロージャーである株主通信、ディスクロージャー誌、英文IR書類等の作成、またIR支援全般として説明会開催、ミーティング設営等を行う業務がある。
自発的ディスクロージャー関連事業は多額の経費をかける企業が少なくなり、市場規模も小さい。
この分野のプレーヤーとしては、上場企業では宝印刷 (T:7921)、プロネクサス (T:7893)があり、他には証券系IR会社等がある。
2016年4月に一般社団法人日本IR協議会が発表したIR費用に関するアンケート結果を見てみると、IR 活動にかかる年間費用(ただし人件費は除き、郵送料等は含む)の平均は2,105万円。
「500万円未満」の回答が全体の37.3%で最も多く、「500~1,000万円未満」で21.6%、「1,000~2,000万円未満」で15.0%、「5,000万~1億円未満」で5.7%となっている。
IR予算は少なく、小さいマーケットであり、同社グループはこの分野に特化はしない。
電子化によって縮小するので拡大することはないだろうと予想している。
自発的開示に費用をかけない上場企業が多いことから、ごく限られた企業だけが生き残る市場となることが予想される。
次はSR市場だが、同社グループはこの市場で最大の収益を上げており、独立系の強みを生かすことができている。
そのため、今後も中核となる事業分野と位置付けている。
同社グループはこの分野の株主判明調査から企業規模を拡大してきている。
機関投資家の日本株の保有状況について国内外で調査を行っており、このビジネスフィールドは推定で1,000億円程度の市場規模があるとみている。
証券代行業務、株主総会関連支援業務として、事前賛否シミュレーション、総会議案可決アクションプラン、議決権行使結果分析があり、株主判明コンサルティングとして実質株主判明調査を行っている。
同社グループは現在、ニューヨークのパークアベニューにリサーチ拠点を置き、徹底した株主判明調査を行っている。
国内外の機関投資家の日本株保有状況をつぶさに把握しており、彼らの議案への投票行動も分析している。
このビジネスフィールドの同業には、信託銀行があるが、基本的には自社ですべての株主判明調査を行っているのは同社グループのみである。
M&A市場について、企業に対するFA(ファイナンシャルアドバイザー)としての市場が1,500億円程度の規模があると同社グループは見ており、友好的M&A、敵対的M&Aや委任状争奪戦のビジネスを想定している。
同社グループは日本初のコミットメント型ライツイシューのアドバイザーを務め、このマーケットでのビジネス拡大を考えている。
案件もSRコンサルティングの中から数多く依頼がきている。
企業買収、M&Aの仲介、デューデリジェンス等これからも急拡大していくと思われる。
同社グループが担うM&Aは、GCA (T:2174)が行う大規模なものと、日本M&Aセンター (T:2127)が行う未上場中小規模のものの中間に位置する。
MBO案件も増加していくと見込んでおり、ノウハウを着実に蓄積している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 福田 徹)
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