■業績動向
2. 2017年12月期(2017年4月−12月)決算概要
サイバーコム (T:3852)の2017年12月期(2017年4月−12月)は決算時期変更のため9ヶ月決算となった。
前年同期(2016年4月−2016年12月)の実績と比較した各指標値は、売上高が前年同期比14.7%増の8,131百万円、営業利益は同7.6%減の444百万円、経常利益は同10.2%減の453百万円、当期純利益は同7.5%減の318百万円であった。
売上高についてはソフトウェア開発事業とサービス事業が好調に推移し順調に拡大したが、利益指標については研究開発費などの先行投資の増加に加え、決算期変更による費用計上月の変更による費用増などで前年同期からは縮小した。
なお、期初計画時点から、研究開発費及び人件費等の増加を見込んで利益指標は抑えて設定していたが、増収効果により計画値からは大幅に上振れ落着した。
9ヶ月の変則決算のため過年度比較が難しいが、売上高は過去最高値を記録した2017年3月期を実質的にさらに上回る勢いで、2017年12月期は余力を残して落着したというように見える。
営業利益は、研究開発費などの先行投資やソフトウェア不具合対応、オフィス移転・増床に伴う費用増加、決算期変更による費用計上月の変更などによって販管費が増加し、前年同一期間比では減益となった。
しかし、その大半の費用は年初計画時点から織り込んだものであり、増収効果により計画比では大幅な増益落着となった。
IT業界においては、情報システムやネットワークのセキュリティ対策及び信頼性の確保に対する取り組み、車載、交通分野並びにエネルギー分野などの社会インフラや医療分野における需要拡大に加え、AI、IoT(Internet of Things)、自動運転、第5世代移動通信(5G) 、FinTechといった新たな技術を活用したビジネスへの期待が高まっている。
一方でIT技術者不足が常態化しており、人材の確保及び育成がより大きな課題となっている。
同社においては、既存顧客のリピートオーダー確保や新たなニーズの掘り起こしに加え、新規顧客の獲得や需要拡大が見込まれる成長分野への積極的な営業展開に注力し、主力のソフトウェア開発事業に加えサービス事業も好調に推移し、売上高は順調に拡大している。
また、動員力強化施策として、中途及び新卒採用活動を積極的に展開するとともに、パートナーとのリレーションシップ強化施策を推進している。
さらに、転換技術者教育や実践プログラムを取り入れた階層別研修の充実化を図り、技術力向上に向けた人材育成を図っている。
3. セグメント別動向
(1) ソフトウェア開発事業
主力事業であるソフトウェア開発事業においては、売上高6,501百万円(前年同一期間比13.7%増)、 営業利益859百万円(同0.4%減)となった。
通信ソフトウェア開発は大手通信キャリア向けシステムが減少し、他の好調分野への要員シフトなどの影響もあり、減収減益となった。
制御ソフトウェア開発においてはECU(Electronic/Engine Control Unit)などの車載システム関連の開発案件が好調に推移し増収増益であった。
また、業務ソフトウェア開発においては、企業向け業務システム、エネルギー関連システム、生保システム、ECサイト構築、医療システム、電子マネー・クレジット決済システム開発案件などが好調に推移し増収減益であった。
売上高推移で見ると、通信ソフトウェア開発がこの2~3年は減少傾向にあるが、制御ソフトウェア開発及び業務ソフトウェア開発が拡大し、ソフトウェア開発事業全体では順調に成長している。
(2) サービス事業
サービス事業においては、売上高1,584百万円(前年同一期間比15.5%増)、営業利益255百万円(同 48.1%増)となった。
SIサービス(構築・保守・運用・評価検証サービス)においては、クラウド化対応案件や通信キャリア向けネットワーク構築案件の増加等により堅調に推移した。
また、自社プロダクトにおいては、「Cyber Smart」シリーズ製品の大型案件受注に加え、顧客提案力強化により「Cyber IP-PBX」「Cyber Phone」の販売が好調に推移した。
過去の売上高推移を見ても、おおむね安定的かつ順調に伸長していることがわかる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 山田 秀樹)
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