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カンロ Research Memo(3):キャンディ市場でシェア2位を誇る

発行済 2018-05-25 15:03
更新済 2018-05-25 15:36
カンロ Research Memo(3):キャンディ市場でシェア2位を誇る
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■カンロ (T:2216)の事業概要

1. 事業概要
全日本菓子協会によると菓子市場は2016年の小売金額で3兆3,609億円、生産金額で2兆4,773億円あり、かなり大きな市場である。
菓子とは飴菓子、チョコレート、チューインガム、せんべい、ビスケット、米菓、和生菓子、洋生菓子、スナック菓子、油菓子、その他とジャンルは多岐にわたる。
アサヒグループ食品(株)や森永製菓 (T:2201)など複数のジャンルにまたがって生産する大手メーカーもあるが、規模の小さい専業メーカーも数多く存在する。
菓子市場はインバウンド需要や業界のキャンペーン強化もあって微増を続けているが、ジャンル別の動向では、飴菓子やチョコレート、洋生菓子などが売上高を伸ばし、チューインガムやビスケット、スナック菓子が減らしている。


その中で同社の属する飴菓子の市場規模は、生産ベースで1,880億円程度(2016年)と言われている。
飴菓子は飴、グミ、錠菓・清涼菓子に3分類される。
飴は停滞傾向にあるが、グミは新食感が、錠菓は携帯性が好評で拡大傾向にあると言われている。
そのような市場で同社のシェアは10%近くあると推定される。
ちなみに、同社の分類では「ノンシュガー果実のど飴」や「金のミルクキャンディ」などが飴、「ピュレグミ」などがグミ、「まるごとおいしい干し梅」などが素材菓子となり、売上高構成比はそれぞれ66%、25%、9%と推定される(同社では飴とグミを合わせてキャンディと称している)。
錠菓は扱っていない。



蓄積されたノウハウをベースに、マーケットインでもプロダクトアウトでもヒットを量産
2. 製造面の強み
飴は、水あめや砂糖などの原料に添加物を加えて作る非常にシンプルな製品である。
このため、新規参入障壁は低いと考えがちだが、実は主原料や添加物の配合、製法による味と品質の差が大きく、いまだに小規模メーカーが数多く存在する理由にもなっている。
同社には、そうした配合や製法に関する膨大なノウハウが、100年を超えて蓄積されている。


同社のロングセラーで社名にもなっている「カンロ飴」が作られた時代は、戦後まもなくである。
当時、同社は宮本製菓株式会社という社名で、「宮本のドロップス」のヒットなどにより地域では有数なキャンディメーカーになっていた。
しかし、戦後の物不足で主原料である砂糖価格が上昇したことや、過剰競争により打開策として画期的な製品を作ろうと、レシピにしょうゆを持ってきたのである。
似たような発想をしたメーカーも多かったらしいが、しょうゆの塩分のせいでべたつきや焦げつきが発生し、製品化できたのは同社だけだったということである。
日本人にとって懐かしい味のする「カンロ飴」は大ヒットし、それにちなんで宮本製菓株式会社からカンロ株式会社へ社名を変えたのは前述したとおりである。


一方、新たなニーズやウォンツを掘り起こすことで作られてきた製品も数多い。
「健康のど飴」は1981年に菓子業界発の「のど飴」として発表し、カテゴリーを創出。
同様に「ボイスケアのど飴」は音楽大学声楽科と共同開発しプロの声楽家などに愛用されてきたが、その後カラオケ愛好者などへと購買層が広がっていった。
ほかにも、カロリーを気にする購買層向けに提案しヒットした「ノンシュガー飴」は、砂糖不使用ながら飴の味わいを犠牲にしない製法が特徴になっている。


「カンロ飴」のようないいモノを作るというメーカーとして根源的な発想によるプロダクトアウトの製品も、「ボイスケアのど飴」のようにニーズやウォンツにマーケットインした製品も、長年の独自ノウハウを利用した製法やライフスタイルに基づく提案によって、世の中に長く受け入れられてきたと言える。



リテールサポートは大きな強みとなり、売上をけん引へ
3. 営業面の強み
同社の主な販路はスーパー(GMS含む)とコンビニエンスストア、ドラッグストアである。
2017年の販路別市場の伸びは、スーパーがマイナス、コンビニエンスストアがトントン、ドラッグストアが2ケタ増となったもようである。
そのような市場で同社は、スーパーがプラス、コンビニエンスストアとドラッグストアが2ケタ伸長と非常に好調だった。


ここで注目されるのがコンビニエンスストアとドラッグストアの伸びである。
結論からいうと、2016年12月期第4四半期にスタートしたリテールサポートの効果と言うことができる。
リテールサポートとは、従来営業だけで取引先に行っていたのを、営業をエリア別に再構成した上、商品企画やマーケティングの担当者も同行することで、時間の効率化と提案力やソリューションの強化を同時に狙ったものである。
このため、競争の激しいコンビニエンスストアでは取引先とのきめ細かい情報交換や製品提案が可能となり、手薄だったドラッグストアや地方スーパーにも戦略的に提案ができるようになった。
2018年12月期はチャネル別も加え、エリア別・チャネル別の営業体制によって、特に成長余地の大きいドラッグストアに攻勢をかける計画である。


ちなみに、三須社長始めトップマネジメントに出身者が少なくない三菱商事 (T:8058)だが、大株主(持分27.77%)の上、売上高構成比で95%以上になる大きな取引先でもある。
しかし、同社は製造から販売まで専業メーカーとして独自の理念や戦略に基づいて行動しており、三菱商事の主な役割は、与信管理や新規取引先開拓のサポート、一部原材料の調達である。
特段に与信管理を三菱商事に任せることで、同社は専業メーカーに専念することができるため、同社にとって得難いパートナーと言える。
これも強みの1つと言えるだろう。


一方、同社にも弱みがあると考えられる。
市場参入は早かったもののシェアが取り切れていないグミ、使用シーンが拡大しているもののいまだ参入していない錠菓、販路もドラッグストアや地方スーパーでは出遅れているもようである。
ノウハウの蓄積やロングセラーの活躍など長所となっていた「老舗」が裏目に出て、変化への対応が鈍くなっているのではないかと懸念している。


しかし、それは実は杞憂であり、「老舗」に依存・安住するのではなく「老舗」を進化させなければならないということを、同社では何年も前から分かっていたのだと思われる。
カルピスブランドの販売停止後のここ数年、主力ブランドへの経営資源の集中や営業方法・投資計画の変更など、「老舗」にしてはかなり変化の効いた戦略が相次いでいる。
そのようなリスクを取った戦略は、相当の危機感と覚悟がなければできないことであり、「老舗」も動き出しているということだ。
そして、そうした内容を具現化したのが中期経営計画「NewKANRO 2021」だと弊社では理解している。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)

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