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カンロ Research Memo(3):キャンディ市場で2ケタを超えるシェアを誇る

発行済 2018-11-05 15:13
更新済 2018-11-05 15:20
カンロ Research Memo(3):キャンディ市場で2ケタを超えるシェアを誇る
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■カンロ (T:2216)の事業概要

1. 事業概要
全日本菓子協会によると、2017年の菓子市場は小売金額で3兆3,898億円、生産金額で2兆5,016億円となっており、かなり大きな市場だということが分かる。
菓子とは飴菓子、チョコレート、チューインガム、せんべい、ビスケット、米菓、和生菓子、洋生菓子、スナック菓子、油菓子、その他とジャンルは多岐にわたる。
アサヒグループ食品(株)や森永製菓 (T:2201)など複数のジャンルにまたがって生産する大手メーカーもあるが、規模の小さい専業メーカーも数多く存在する。
インバウンド需要や業界のキャンペーン強化もあって菓子市場全体は微増を続けているが、2017年の売上高は、飴菓子やチョコレート、米菓などが伸び、チューインガムやビスケット、洋生菓子が減少した。


その中で同社の属する飴菓子の市場規模は、生産ベースで1,920億円程度(2017年)と言われている。
飴菓子は主に飴、グミ、清涼菓子(錠菓)に3分類される。
飴は長年微減傾向にあり、携帯性が好評で伸びていた錠菓がやや減速、グミは新食感が受けて拡大傾向にあると言われている。
そのような市場で同社のシェアは2ケタを超えると推定される。
ちなみに、同社の分類では「ノンシュガー果実のど飴」や「金のミルクキャンディ」などが飴、「ピュレグミ」などがグミ、「まるごとおいしい干し梅」などが素材菓子で、錠菓は扱っていない(同社では飴とグミを合わせてキャンディと称している)。



プロダクトアウトでもマーケットインでもヒットを量産
2. 製造面の強み
飴は、水あめや砂糖などの原料に添加物を加えて作る非常にシンプルな製品である。
このため、新規参入障壁は低いと考えがちだが、実は主原料や添加物の配合、製法による味と品質の差が大きく、いまだに小規模メーカーが数多く存在する理由にもなっている。
同社には、そうした配合や製法に関する膨大なノウハウが、100年を超えて蓄積されている。


同社のロングセラーで社名にもなっている「カンロ飴」が作られた時代は、戦後まもなくである。
当時、同社は宮本製菓株式会社という社名で「宮本のドロップス」をヒットさせ、地域で有数のキャンディメーカーになっていた。
しかし、戦後の物不足で主原料の砂糖価格が上昇するなか競争が激化、打開策として画期的な製品を作ろうとレシピにしょうゆを持ってきたのである。
似たような発想をしたメーカーも多かったらしいが、しょうゆの塩分のせいでべたつきや焦げつきが発生し、製品化できたのは同社だけだったということである。
日本人にとって懐かしい味のする「カンロ飴」は大ヒットし、それにちなんで宮本製菓株式会社からカンロ株式会社へ社名を変えたのは前述したとおりである。


一方、新たなニーズやウォンツを掘り起こすことで作られた製品も数多い。
「健康のど飴」は1981年に菓子業界発の「のど飴」として発表され、新たなカテゴリーを創出した。
「ボイスケアのど飴」は音楽大学声楽科と共同開発しプロの声楽家などに愛用されてきたが、その後カラオケ愛好者などへと購買層が広がっていった。
ほかにも、カロリーを気にする購買層向けに提案しヒットした「ノンシュガー飴」は、砂糖不使用ながら飴の味わいを犠牲にしない製法が特徴になっている。


同社はこのように、「カンロ飴」のような、素材にこだわっていいモノを作るというメーカーとして根源的な発想によるプロダクトアウトの製品や、「ボイスケアのど飴」のように、ニーズやウォンツにマーケットインした機能性のある製品を作り出し、世の中に長く広く受け入れられてきたのである。



リテールサポートは大きな強みとなり、売上をけん引
3. 営業面の強み
同社の主な販路はスーパー(GMS含む)とコンビニエンスストア、ドラッグストアである。
2018年上期の販路別市場の伸びはスーパーとコンビニエンスストアが5%程度、ドラッグストアが1ケタ後半の増加となったもようである。
そのような市場で同社は、スーパーとコンビニエンスストアが1ケタ後半~10%程度、ドラッグストアが20%近い伸びと非常に好調だった。


ここで注目されるのが、同社のコンビニエンスストアとドラッグストアの伸びである。
結論からいうと、2016年12月期第4四半期にスタートしたリテールサポートの効果と言うことができる。
リテールサポートとは、従来営業だけで取引先に行っていたのを、営業をエリア別・チャネル別に再構成した上、商品企画やマーケティングの担当者も同行することで、時間の効率化と提案力・ソリューションの強化を同時に狙ったものである。
このため、競争の激しいコンビニエンスストアで取引先とのきめ細かい情報交換や製品提案が可能となり、手薄だったドラッグストアや地方スーパーでも戦略的な提案ができるようになった。
リテールサポート実質2年目の2018年12月期は、支店におけるエリア別・チャネル別のリテールサポート体制をさらに拡充して、特に成長余地の大きいドラッグストアに攻勢をかけている。
また、携帯性のよい小袋タイプの飴がコンビニエンスストアを中心に好評で、ガムやタブレットからの置き換えを狙った営業も展開している。


ちなみに、代表取締役社長の三須和泰(みすかずやす)氏を始めトップマネジメントに出身者が少なくない三菱商事 (T:8058)だが、大株主(持分27.77%)の上、売上高構成比で95%以上になる大きな取引先でもある。
しかし、同社は製造から販売まで専業メーカーとして独自の理念や戦略に基づいて行動しており、三菱商事の主な役割は、与信管理や新規取引先開拓のサポート、一部原材料の調達となっている。
特段に与信管理を三菱商事に任せることで、同社は専業メーカーに専念することができる。
同社にとって得難いパートナーであり、強みの1つと言えるだろう。


一方、同社に弱みがあるとすれば、市場参入は早かったもののシェアが取り切れていないグミ、使用シーンが拡大しているものの未参入の錠菓、それにドラッグストアや地方スーパーでの出遅れ感——ということになる。
グミについては増強計画が進行しており、新規販路や地方販路はリテールサポートによって強化中である。
一方錠菓は、「素材を生かす」という同社の考えに合わせづらいこと、飴とグミが好調なことなどから、当面は参入しない方針である。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)

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