アドバネクス Research Memo（2）：グローバル展開をする精密ばね専業メーカー
Fisco
発行済 2019年01月09日 15:32
アドバネクス Research Memo（2）：グローバル展開をする精密ばね専業メーカー
1. 沿革
1930年に初代社長が東京都にスプリング専門工場を設立して創業した。
1946年に株式会社に改組し、社名を株式会社加藤スプリング製作所に、2001年に現在の株式会社アドバネクスに変更した。
1964年に東証2部へ新規上場を果たし、2004年に東証1部へ指定替えとなった。
アドバネクス (T:5998)は、1980年代以降、世界的なヒットを飛ばし、トップシェア製品を輩出した。
音楽テープ用テープパッド（国内シェア70%）、ビデオテープ用リーフスプリング（世界シェア50%）、3.5インチフロッピーディスク用シャッター（世界シェア80%）、携帯電話用ヒンジ（世界シェア50%）、光ディスク用センターハブ（国内シェア90%）などである。
現在は、医療用の留置針用ばねで国内シェア60%を獲得している。
海外への進出も早く、1971年に米国に子会社を設立したのを皮切りに、シンガポール、イギリス、香港、タイ、中国、ベトナム、メキシコ、ドイツ、チェコ、インドネシア、インドに海外子会社を開設している。
1988年に設立されたイギリスの子会社は、イギリス国内の有力ばねメーカーを買収し、2工場体制を取っている。
同子会社は、ノッティンガムポスト主催のノッティンガム州ビジネス大賞において2012年にベストカンパニー賞を受賞し、また、2016年には製造部門優秀賞を受賞した。
現在の主力製品は、医療機器用の精密ばね製品及び航空機器や自動車市場向けの締結補強部品である。
イギリス子会社の製品開発には、日本から技術支援を行った。
これらが、グループ会社の中で最も高い収益を上げている。
2. 事業内容
かつて買収したプラスチック事業をシナジー効果が得られる分野だけ残し、2015年3月期に売却したため、現在は精密ばね専業メーカーである。
単一事業セグメントであるが、用途別と所在地別の連結売上高の内訳を公表している。
2019年3月期第2四半期の市場別売上高構成比は、自動車が46.7%、OA機器が17.0%、医療機器が8.7%、精密機器が5.5%、インフラ・住設機器が3.8%、航空機器が3.3%、AV・家電が3.1%、情報通信機器が2.9%、その他が8.9%であった。
2015年3月期以降、自動車市場が最大の顧客先となっている。
取引先は約2,000社あり、製品種類は約15,000種類に及ぶ。
世界で1、2位を争うドイツ系及び日系自動車部品メーカーと取引をしている。
所在地別の売上高構成比は、日本が38.7%、米州が11.5%、欧州が9.7%、アジアが40.1%である。
（執筆：フィスコ客員アナリスト 瀬川 健）
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