米がEUに報復関税発動へ、欧州も報復検討

Reuters

発行済 2019年10月03日 09:56

米がEUに報復関税発動へ、欧州も報復検討

[ロンドン/ブリュッセル/ワシントン 2日 ロイター] - 米国は2日、欧州連合(EU)からの輸入品に対して、18日にも報復関税を発動すると発表した。EUによる航空機大手エアバス (PA:AIR)への補助金を巡る問題で、世界貿易機関(WTO)が同日、米国が欧州製品75億ドル相当に報復関税を課すことを承認したため。EUも報復措置を検討しており、米国と欧州の貿易摩擦は一段の激化が見込まれる。

米通商代表部(USTR)の発表によると、報復関税は、航空機が10%、他の工業品や、ワインやチーズなどの農産品には25%を上乗せする。

対象品目は数百に上るが、生産国が限定されている品目も多く、フランス産ワインやイタリア産チーズ、スコッチウイスキー、ドイツ製カメラ部品、英国製ウール商品などが含まれる。

報復関税を課すことを認めたWTO小委員会は、エアバスの超大型旅客機「A380」などに対する欧州政府の補助金により、米国は年間75億ドル相当の損害を被ったと指摘した。

欧州委員会は米国の報復措置は「近視眼的で非生産的だ」と批判。エアバスも「航空業界だけでなく、世界経済全体が不安定になり、大きな混乱を引き起こす」との声明を発表し、世界は勝者なき貿易戦争に突入すると批判した。さらに、同社は、米国内の組み立て工場や4000人の雇用を通じて米国経済に貢献していると強調した。

米国の専門食品輸入業者はトランプ政権に対し、関税を発動しないよう求めていた。業界団体によると、米国内の専門食品店1万4000店に加え、2万を超える他の食品小売業者が関税の影響を受ける。