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焦点:サウジ投資会議、人権問題やアラムコ上場遅れで存在感低下

発行済 2019-10-31 11:20
更新済 2019-10-31 14:30
焦点:サウジ投資会議、人権問題やアラムコ上場遅れで存在感低下
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[ドバイ 24日 ロイター] - サウジアラビアの首都リヤドで来週29─31日に、年次投資会議「フューチャー・インベストメント・イニシアチブ(FII)」が開催される。

ムハンマド皇太子が初めて開いた2017年当時は、スイスで毎年開催され世界各国の政治指導者や経済界の要人が集まる世界経済フォーラム(ダボス会議)になぞらえ、「砂漠のダボス会議」になると期待された。皇太子の打ち出した改革が新たな投資機会だと高く評価されたのだ。ところが昨年のFIIは、サウジの反体制派記者が殺害された事件受けて欧米の参加者が激減した。

今年はシティグループ (N:C)やクレディ・スイス (S:CSGN)、ブラックロック (N:BLK)、ブラックストーン (N:BX)などのトップが出席する予定で、2人の関係者の話では、ソフトバンクグループ (T:9984)の孫正義会長兼社長も出席を予定している。ソフトバンクの「ビジョン・ファンド」にサウジの政府系ファンドが400億ドル出資していることを踏まえ、「ビジョン・ファンド2」にも資金拠出を仰ぐ狙いだ。[nL3N2792JD]

米政府からはペリー・エネルギー長官とムニューシン財務長官が出席し、世界銀行のマルパス総裁も参加する。

ただ記者殺害事件の余波はなお消えていない上に、国営石油会社サウジアラムコの上場計画が円滑に進んでいないことから、17年に見られたFIIに対する熱気はなくなっている。

ある外国銀行のバンカーは「ダボス会議のように絶対に顔を出す必要があるイベントとはみなせない」と突き放した。

実際サウジは、石油以外の製造業などの分野で数百万人の雇用を創出することを目指したプロジェクトで、外国資金の誘致に苦戦している。投資家がこれらのプロジェクトが商業的に実現可能なのか不安を感じたり、記者殺害事件の後でサウジに積極的に投資するのをためらっているからだ。

17年のFIIでは、アラムコの新規株式公開(IPO)で調達した資金を活用して新産業都市「NEOM」を建設する構想も打ち出された。だが今のところNEOMは、王宮と空港が建設された以外、ほとんど計画が進展していない。

昨年サウジが調印にこぎ着けたいくつかの大型プロジェクトも大半がアラムコ絡みだ。米ワシントンのシンクタンク、アラブ・ガルフ・ステーツ・インスティテュートのRobert Mogielnicki常勤研究員は「商業契約に合意したことは対外宣伝としては素晴らしい。しかしサウジ政府が主導するプロジェクトに今本当に必要なのは、外国の民間パートナーとともに構想段階から実行段階に移行することだ」と指摘した。

<本当の判断材料>

肝心のアラムコは、今月20日にサウジ国内市場に1─2%の株式を先行的に上場する計画を発表するはずだったが、これが先送りされている。アドバイザーの1人は、IPOに関与している銀行に、アラムコは第3・四半期の業績まで待って、先月起きた石油施設攻撃による一時的な生産半減で動揺した投資家の信頼を回復することを望んでいる、と伝えた。

複数の関係者もロイターに、アラムコ上場はもっと時間をかけて中核的な投資家を確保する必要があるとの見方を示した。

サウジの民営化全体の動きを見ても、来年までに350億─400億リヤル(93億3000万─106億6000万ドル)の非石油収入を得るという目標達成には程遠いのが実情だ。

マニュライフ・インベストメント・マネジメントのリチャード・シーガル氏は「これまでのところ、投資機会はおおむね上場株と直接投資に限られる。民営化ないしIPOは石油・ガス部門に限定されている」と述べた。

アップル (O:AAPL)とアマゾン・ドット・コム (O:AMZN)は17年にサウジにおける事業基盤の立ち上げを協議していたものの、まだ具体的な合意には至っていないようだ。

Mogielnicki氏は「FIIはサウジを取り巻く現状をチェックすることになるかもしれないが、同国に対する投資家の信頼が本当はどうなのかは、外国からの直接投資や商業規制、透明性に関する指標をより長い目で判断しないと分からないだろう」と強調した。

(Davide Barbuscia記者、Saeed Azhar記者、Stephen Kalin記者)

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