アラムコ上場のFA手数料、最大9000万ドルにとどまる=関係筋

Reuters

発行済 2019年11月20日 10:01

アラムコ上場のFA手数料、最大9000万ドルにとどまる=関係筋

[ドバイ/ロンドン 19日 ロイター] - サウジアラビア国営石油会社サウジアラムコの新規株式公開(IPO)のアドバイザーを務める金融機関25社が受け取る予定の手数料が最大で計9000万ドルと、過去の大型IPOに比べ低くなることが、事情に詳しい関係者3人の話で明らかになった。

過去の大型IPOのなかでは、中国の電子商取引大手アリババ (N:BABA)による2014年のニューヨーク上場は3億ドル、米フェイスブック (N:FB)の2012年のIPOでは推定1億7600万ドルが手数料として支払われた。

アラムコが国営企業であることから、アリババやフェイスブックに比べて手数料が低くとどまるとの見方は常にあった。ただ、アラムコのIPO業務に携わることでサウジ国内のほかの大型案件に道筋を開けるとの期待があった。それでもなお、アラムコIPOの大きさや海外投資家からのアラムコ株への需要を踏まえると、金融機関側は9000万ドルよりもはるかに大きい手数料収入を想定していたはずだ。

低調な手数料の背景には、サウジ政府がアラムコIPOに関する目標を引き下げてきたという経緯がある。

サウジは当初、アラムコの企業価値を2兆ドルとしていたが、同社が17日設定した公開価格の仮条件レンジに基づくと、企業価値は最大で1兆7000億ドルにとどまった。同社はまた、株式の1.5%を売り出すと決定しており、当初見込まれていた2%を下回った。[nL3N27L57P]

3人の関係筋によると、助言役の金融機関にはIPOで調達する資金の0.35%が手数料として支払われる見通し。仮条件の上限で計算すると資金調達額256億ドルに対して手数料は約9000万ドルとなる。サウジ側の当初の想定ほどの規模ではないにしても、依然として史上最大のIPOとなる。

同筋によると、企業価値2兆ドルや株式全体の2%の売り出しなどの目標が達成できた場合は金融機関側が資金調達額の0.5%を受け取るとの取り決めもあり、その場合は手数料は2億ドルを上回るはずだったが、既に達成は不可能とみられる。

アラムコはコメントの求めに応じていない。

アリババの2014年のIPOでは金融機関35社が幹事となり、調達した250億ドルの1.2%が手数料として支払われた。フェイスブックのIPOでは資金調達額160億ドルの1.1%が幹事約30社に支払われている。

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<激しい競争>

アラムコのIPOを助言する35社のうち、主幹事9社が手数料の大部分を受け取るとみられる。これにはシティ (N:C)、ゴールドマン・サックス (N:GS)、モルガン・スタンレー (N:MS)、JPモルガン (N:JPM)、サウジのナショナル・コマーシャル・バンク(NCB) (SE:1180)およびサンバ・フィナンシャル・グループ (SE:1090)が含まれる。

サウジ国外の投資家に販売できるアラムコ株は限定的となるため、国際的な共同幹事(ブックランナー)の一部はIPO業務をやめる可能性がある。関係筋の1人は、アラムコが17日に金融機関側に対し、IPO業務を続けるかどうかを76時間以内に確認するよう要請したと明らかにした。

国際金融機関にとってわずかばかりの慰めは、アラムコ上場に携われば株式関連の投資銀行業務のリーグテーブル(順位表)における地位向上につながるということだ。サウジのムハンマド皇太子が2016年にアラムコ株の5%を売り出すIPO計画を発表して以来、金融機関は海外での上場も含め、引受幹事業務獲得のために激しく争ってきた。

一方、アラムコは先進国で予定されていた投資家説明会をキャンセルした。金融機関側は参加するために準備していた。

ロイターが確認した招待状によると、20日はロンドン、21日はニューヨークで説明会が予定されていたが、16日時点で中東地域以外の説明会は全てキャンセルとなった。

別の関係筋は「売り出しのほとんど全てが国内で行われる。ただ、一部の適格外国投資家(QFI)が参加する可能性はある」と述べた。QFIはサウジ証券の売買が認められている。